インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

海外進出のきっかけを堺から。 ハグルマ封筒株式会社 杉浦 正樹 社長

歴史に甘えず、時代にアンテナ

50年以上前のドイツ製活版印刷機械と、それを丁寧にメンテナンスしながら使いこなすベテラン技術者が活躍する一方で、現代的なデザインのオリジナル製品が次々と若い才能によって生み出されている。創業百周年を控えて、「温故知新」という言葉がふさわしい老舗封筒メーカー。

多彩な素材と加工技術を駆使し高付加価値製品へシフト

1918年の創業時より主に業務用封筒を手がけてきたハグルマ封筒。この十数年で、ビジネス上のやりとりはもちろん、消費者に向けての販促活動も電子媒体に取って代わられるようになり、封筒の需要は減少しています。そうしたなか、同社にはアパレルやジュエリーなどブランドイメージを重視する企業からの発注が増えてきたとか。多彩な素材や加工技術、そしてデザインのノウハウが認められてのことでしょう。
受け取り手のステイタスをくすぐる‶ 捨てられない封筒„の提案。そこに注力、特化していきたいと杉浦正樹社長は語っています。
同社の関連会社として、東京の表参道や大阪の心斎橋に出店している手紙用品専門店「ウイングド・ウィール」には、デザイン性の高いカードや封筒などが店頭を飾り、招待状や名刺のオーダーメイドも受け付けています。個人の方への手紙文化の発信拠点であるとともに、法人のクリエーターなどに向けてのプレゼンテーションの場も担っているようです。


事業の再構築をめざし製販を集約した本社を堺へ

ハグルマ封筒が本社を堺市に移転させたのは2010年7月。事業の再構築を進めるなかで、4カ所に分散していた事業所を一カ所に集約して効率化を図ることがねらいでした。
「それまで本社のあった松原市では、周辺に住宅が建て込み、敷地を拡張することはできませんでした。そこで移転先を探したところ現在地を紹介してもらい、大阪市内にあった営業所と2カ所の工場、そして物流拠点をここに集めることができました。90年以上の歴史の中でも大きな転機の一つに数えられるでしょう」と杉浦社長。
期待通り、効率化によるコスト削減を図れたうえに、短納期の実現につながったといいます。その理由の一つには、お客様に直接対応する営業と生産現場のコミュニケーションが密になったこともあげられますが、距離が近くなったからといって人間関係が密になるわけではありません。
「月に1回、異なる部署の社員をグルーピングしてワークショップを開き、当社の『共有する価値観』についてディスカッションを行っています」と杉浦社長。ハードとソフトの両面から製販の一体化に取り組んだことが大きな成果を生み出したといえるようです。


NYギフトフェアの堺ブースで初めての海外展示会を実現

さて、堺市に本社を移転して4年目。「行政がとても近い」ことを実感すると杉浦社長は語ります。
「以前は大阪府の管轄にあったせいか、行政の支援を身近に感じることはありませんでした。堺市は中小企業のサポート力が高いと思いますね。2~3年前から『ニューヨークインターナショナルギフトショー』の堺市ブースに出展しているのも、堺市産業振興センターからの提案です。初めての海外展示会という不安も払拭していただきました。アメリカに新しい取引先が開拓できただけでなく、参加させた社員のモチベーションアップにもなっています」。
今ではすっかり堺の企業の一員に。「メイド イン さかいフェア」に積極的に参画しているほか、堺市の「環境チャレンジ企業認定」で、同社が独自に開発した封筒「エコフレンドリーカラー」が認定を受けています。
「当社が毎年開催している『かるた市』で、紙や堺の魅力を発信している『紙カフェ』さんとのコラボも果たしました。堺には多くの優れた企業があるので、今後何かでコラボレーションできないかと期待しているところです」と杉浦社長。
今年1月には、フランスの展示会『メゾン・エ・オブジェ』にウイングド・ウィールを出展し、百貨店や小売店への販路開拓を実現したハグルマ封筒。堺とのつながりの深い東南アジアも含めて、視野は大きく海外に広がっています。


▲古紙配合率40%以上で、無塩素漂白パルプを使用した「エコフレンドリーカラー」。


▲フランスの「メゾン・エ・オブジェ」に初出展したウイングド・ウィールブース

東南アジアからの人材の雇用で多様性を備えた企業へ
「ベトナム領事館もある堺市は、ASEAN(東南アジア10か国から成る東南アジア 諸国連合)に非常に近く、生産拠点というよりは市場として視野に入れています。ベトナムから人材を雇用することで、社内の多様化、ひいては標準化を図りたいとも考えています」と杉浦社長。海外展開を進めるなかで「井の中の蛙」からの脱却をめざす。

ハグルマ封筒株式会社

代表者 代表取締役 杉浦正樹
本社 堺市東区八下町3-50
TEL 072-252-8963
設立 1918年創業 1936年設立
資本金 5,200万円
従業員数 110名
事業内容 業務用・家庭用封筒、各種紙製品の企画・製造・販売
ホームページ http://www.haguruma.co.jp/

貸会場のご案内 TEL 072-255-0111 FAX 072-255-3570 ご案内ページはこのボタンをクリック