インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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24時間365日対応の安心を。 八田工業株式会社 隅谷 賢三 社長

もともと24時間運転の炉 正式なサービスとしてオープンに

今でこそ、インターネット上で24時間サービスは珍しくなくなりましたが、八田工業はいち早く1993年から、人による電話窓口で24時間365日注文を受け付けています。
そのきっかけについて、隅谷賢三社長は、「国内初の完全24時間運用をスタートさせた関西国際空港開港の1年前ですから、24時間サービスの走りともいえる時代でしょう。バブル景気がはじけた直後の苦しい頃で、『24時間店を開けていたら、いつでも注文できると安心してお客さんが来られるのでは』という創業者のアイデアから始めました。炉はすでに24時間運転していたので、複数の社員さんが交代制で必ず勤務していましたから。実は他社でも、お得意先からの注文があれば休日や夜間に稼働していることが多いのです。うちはそれをサービスメニューとして看板に掲げたからこそ、生き残れたと思いますね」と話しています。
24時間バラバラと受け付けていては効率が悪いように思えますが、「当社の炉は1トンクラスで、小さいものに特化して扱っているため、極端に大きなものが混在することはありません。形状が違う別々の製品をうまく組み合わせて一つの炉で加工するのも、当社のノウハウですね」と隅谷社長と語っています。


コンビニのような利便性とプロの高い技術を提供

隅谷社長が目指してきたのは"熱処理加工のコンビニ"であると同時に"プロショップ"でもあること。「熱処理屋としては後発組で、どこか大企業の傘下にあるわけではない当社だからこそ、新しいことに挑戦できる」と語っています。
真空焼入れなら夕方午後5時45分までに受け付けたものは、翌朝8時の引渡しを約束しています。ヒントはクリーニング店にある仕上がり予定表でした。そのスピーディな対応については「いかに早く炉にセットし、洗浄し、冷却するか」をマニュアルではなく、ノウハウとして持つプロの強みだと隅谷社長は自負しています。
理想とするのは、端末機の画面ひとつで、全ての列車の運行状況を把握しているJRのみどりの窓口だと隅谷社長。同社も「何ができるのか」とともに「いつできるのか」の疑問をホームページ上で解消しています。
顧客のためにそこまでするのかと驚くのは、社内に熱処理設備を持つ企業のメンテナンスや設備の入れ替えの代替で注文を受ける際に、新設備導入のアドバイスを行うことがあるという点。「熱処理を大切に考えている企業さんには、当社の技術力もきちんと評価していただけますから」。同社の品質の高さなどから、その後の取引につながることもあるといいます。


地域を愛し、愛される企業にイルミネーションでおもてなし

24時間365日体制がとれるのも社員さんあってのことで、トラブルなく稼働させている技術力やコミュニケーション力を誇りに思うと隅谷社長。「今までの社員さんがここまでの実績を作ってくれたわけで、その姿勢や意志を次世代に継承してくれる社員さんを育てていくのが私の責務だと思っています。社員さんや仕入先様への感謝を忘れず、お客様に喜んでいただけるやりがいを共有していきたい」と語っています。
また、戦前までこの地で伝統産業である和晒を営んでいたことや、社員の多くがこの町の住民であることから、同社の地域への思いもひとしお。町の名前を社名にしているのも、その一つの表れでしょう。
「もてなされていない人間には、もてなし方はわかりません。挨拶されなければ挨拶しようと思わないし、当社が地域に愛される会社であろうと思えば、私たちも地域を大切にしていかなければならないんです」と語る隅谷社長。
八田工業では、冬季になると会社の泉北2号線沿いをイルミネーションで飾り、地域の人たちを楽しませています。


▲低温域の窒素イオンによって金属の表面を硬化させる「イオン窒化処理」を得意とし、お得意先企業からも高い評価を得ている。

優れた堺のものづくりとあわせて自社のアピールを

展示会などで配るノベルティグッズで自社とともに、堺市のPRまで行っている八田工業。その理由について隅谷社長は「当社のように製品という形では見えないところで製造業を下支えしている企業が堺市内にはたくさんあります。堺がそうした技術の集積地だからこそ、八田工業という社名は知られていなくても、堺の企業だということでアピールできることがあります。大企業一社にぶら下がっている町じゃないのが堺の強みですよね」と語る。

2020年の東京オリンピックの招致活動のなかで用いられ、その年の新語・流行語大賞にも選ばれた「おもてなし」という概念は、日本独特のものです。お客様の喜びや社員の働きがいを目的として、より高い価値・サービスを提供しようというものづくり企業における「おもてなしの経営」は、今も日本が揺るぎないものづくり大国である理由を如実に語っていました。

八田工業株式会社

代表者名代表取締役社長 隅谷賢三
本社堺市中区八田西町2-18-40
TEL072-277-7227
設立1979年設立
資本金1,000万円
従業員数26名
事業内容金属熱処理加工、金属加工、金属材料販売・管理
ホームページ http://www.hatta.co.jp/

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