インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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自ら率先して前を行く。 太泉晒染工業株式会社 取締役会長 中川 清一

全国に先駆けてオートスクリーンプリントへ

 太泉晒染工業株式会社の工場に入ると、何十メートルもあるフラットスクリーン捺染(なっせん)機がどんと据えられていました。1日に5千枚のスクリーンプリントを行う能力があるとか。こうした染めの機械化を国内でいち早く導入したのが、中川清一現取締役会長です。
 「先代の父は、私に家業を継がせる前に廃業しようか迷ったようです。それもそのはずで、1970年代、浴衣の需要は年々減少し、捺染は斜陽産業だと思われていました。そこで、私は1974年の入社と同時にオートスクリーンプリントに切り替え、メイン商品も浴衣から法被(はっぴ)と日本手拭いに特化したのです」。
 機械を導入したものの、当初はなかなか仕事がなく苦労したといいますが、そのうち、近代化された工場のことが広く知られるようになり、既製品の法被の注文が多く寄せられるようになりました。
 「高速大量生産型へシフトすることで、商品の生産コストも大きく下げることができ、法被や日本手拭いの用途も、従来の祭りばかりでなく、イベントや企業の販促物に拡大しました。家電量販店などの売り出しで、店員が法被を着ていたのをよく見かけたでしょう? あの法被のほとんどが当社製でしたね。そして、1985年の阪神タイガース優勝の年には、15万着の法被を製造しましたよ」。


水泳同好会から水泳部へ、3部から2部へ昇格

 中川会長が水泳と親しむようになったのは、小学生の時の浜寺水練教室がきっかけだそうです。その後、中学でも水泳部へ。高校はスキー部でしたが、大学で再び水泳と関わることになります。
 「入部当時は同好会だったんですが、それでは大学の助成金が出ないというので、クラブへの昇格をめざすことになりました。大会で成績を出すために必死でトレーニングしましたね。高校と共有していたプールは早朝か夜間にしか使えなかったので、1日8~10㎞を走り込んだり、ウエイトトレーニングをしたりしていました。堺市の市営プールの掃除をボランティアで請け負って、営業時間外に練習させてもらったこともありますよ(笑)」。その甲斐あって、中川会長が2回生の時にクラブへ、さらに4回生の時に3部から2部への昇格を果たしています。
 「私は水泳以外にもスキーや柔道も経験していますが、どれも個人競技なんです。つまり、誰に甘えることもできない、ミスしても誰もカバーしてくれないということです。練習は過酷で、吐いてしまう部員もいましたが、私は人より率先して4回生の最後まで練習に参加しました。だからこそ、1回生や2回生もついてきてくれたんだろうし、彼らのおかげで2部に昇格できたんだと思います」と中川会長は語っています。


生産効率を高める工夫で各町にオリジナルの法被を

 「口で言うばかりでは誰もついては来ない。まず、自分が先頭に立たないと人を引っ張っていくことはできない」。大学時代からのその考えは、経営者になってからも貫かれ、先代の時代とは全く異なる方向への急転回もうまく舵取りできたのでしょう。
 80年代に入る頃には、年間25万着の生産を誇り、既製品の法被のシェアは50%を占め、大阪の船場問屋街に並ぶ法被の90%が同社の製品だったといいます。そして今日では、既製品ばかりでなく、だんじりなどの盛んな泉州地域の祭事に向け、各町のオリジナルの法被や手拭いなどの企画製造にも注力しています。
 「各町に子供会から少年部、青年部、若頭など7つの組織があり、それぞれに4サイズが必要です。つまり28アイテムを揃えられ、さらに生産効率を上げるために余分に製造したものを在庫として抱えられるのが、当社の強みですね」(中川会長)。
 大震災などがあれば、祭りやイベントは真っ先に自粛されるもので、祭りも時代とともに形を変えていくかもしれない。これからの世の中に求められるものを、先に企画考案していく必要があると語る中川会長。常に上をめざす志向は、学生時代から変わらないようです。



▲既製品の法被のシェアは全国で60%以上。地名をデザインしたオリジナル法被も人気。

プレイングマネージャーとして大会運営のサポートまで

1回生の時から3回生のプレイングマネージャーの補佐をし、3回生で副将とプレイングマネージャーを務めたという中川会長。日本水泳連盟の学生委員会に出向し、試合日程を組んだり予選のコースを決めたりもしていたといいます。経営者としてのマネジメント能力はこうしたなかでも鍛えられたのかもしれません。

太泉晒染工業株式会社

代表者名取締役社長 中川 佳之
本社堺市中区毛穴町22-1
TEL072-272-0765
設立1952年設立
資本金1,000万円
従業員数13名
事業内容祭袢天、手拭い、幡、幕、甚平、浴衣などの晒染加工・販売
ホームページ http://www.taisen-sarashisome.com

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