インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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手洗い装置のトップシェアへ エミリエ医療システム株式会社 代表取締役 河井 健男(新社名 株式会社エミリエ)

腰掛けのつもりが16年間 医療機器の営業で人脈を築く

 エミリエ医療システム株式会社の河井健男社長が、医療設備機器メーカーを創業するに至った経緯はユニークなものでした。「実家は刃物メーカーで、もちろん私も家業を継ぐつもりでした。しかし、医療用刃物のほとんどがアメリカやドイツ製なのを知り、堺刃物を医療の世界にも参入させたいと考えたのです」。
 まずは医療業界の勉強のためにと、医療機器メーカーに入社。3年で卒業するつもりが16年間、医療設備関連の営業を担当したといいます。「水まわりの製品の営業が面白く、しかも病院関係者の人脈もできました。現場から聞こえてくる数多くのニーズにものづくりで応えたいという思いを強くしました」と河井社長は語っています。


医療・介護分野で重要な水環境に特化した事業を展開

 同社が強みとするのは、医療・介護・食品などの分野で、清潔な水環境にこだわった製品開発です。なかでも、特許を取得している新型手洗いシステム「スパイラルシャワー」は、1mlに約5000個のマイクロバブルや、1mlに約3600万個のナノバブルといった超微細気泡を生成し、それが毛穴の中まで入って汚れや菌をかき出すというもの。高価な殺菌剤を使う必要がないことや、グリセリンなどを添加することで保湿効果も発揮するというので好評を博しています。
 さらに周辺製品として開発されたクロルパック(塩素ビーズ)は、水道水に入れるだけで約1年間、残留塩素濃度を確保。手洗い水の汚染を防ぐほか、蛇口からの逆汚染も防止する効果が期待されるものです。
 創業当初に手がけたソープディスペンサーやアルコールディスペンサーも、従来品に不満を抱く現場の医師や看護師たちのリアルなニーズを踏まえて開発されたものばかり。こうした製品を見るために、わざわざ遠くは関東や東北から出向いて来られる病院関係者もいるそうです。河井社長は「本物のものづくりをしていれば、お客様から来てくださるということですね」と話しています。


何度も足を運んで得た、現場の課題を解決する提案を

 ユーザーの限られる医療業界は市場規模が小さいためか、現場の不満を解消するものづくりがなおざりにされてきたのでは、と河井社長。そうしたニッチな分野だからこそ、中小企業にもチャンスがあると語っています。「採算が読めなくて大手が手をつけないものを、まずは採算度外視でチャレンジしてみる。それが結果的には大きなビジネスにつながると考えますね」。
 もちろん、ニーズを引き出すには信頼関係が第一。一朝一夕で築けるものではなく、河井社長から「ともかく現場に足を運んで糸口をつかむこと。そして、つかめたら医師や看護師の不満の解消につながる価値ある情報をお土産に訪問を重ねることですね」と具体的なアドバイスがありました。そうした地道な活動の結果、今日、「エミリエ医療システムに任せれば何とかしてくれる」と言われるほどの信頼を得られています。

「昨日の敵は今日の友」エミリエ医療システムの河井社長は、現場のニーズに短納期で確実に、そして低コストで応えるために、自社の技術だけで完結しない場合は、競合他社の技術や製品を組み込むことも辞さないと語っていました。得意技術を持ち寄るコラボレーションもまた、中小企業が医療・福祉業界に参入する場合の一つのポイントだといえそうです。


▲新型センサー式ソープディスペンサーを備えた、新型手洗いシステム「SpiralShower」

世界に誇れる堺刃物を医療分野でも活躍させたくて

「堺刃物の医療分野への進出」27年前の思いは今も変わらず、いよいよ本格的に動きをスタートさせています。まず、大学病院からの課題が、磁性を帯びていない医療用刃物。強力な磁気を発するMRI装置のそばでは、磁性のある医療用刃物が吸いつけられて飛び、危険なのだとか。磁性を帯びない素材の選定から始めています。また、製品づくりの際に役立つと考え、医療用刃物の研ぎ直しも引き受けています。

株式会社エミリエ(旧社名 エミリエ医療システム株式会社)

代表者名代表取締役 河井健男
本社堺市堺区宿屋町西2-2-22-210
TEL072-204-1100
設立2005年設立
資本金1,000万円
従業員数10名
事業内容医療設備機器の開発
ホームページ https://emirie.biz/

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