インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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和晒のやさしさでベビー肌着 株式会社武田晒工場 代表取締役 武田清孝

自社の強みとして抗菌加工やEco晒を開発

 堺の伝統産業である和晒を長く守ってきた武田晒工場は創業106年。現在の武田清孝社長で4代目を数えます。かつて、堺で盛んだった和晒は、布巾(ふきん)や赤ちゃんのおしめなど、日用品としての需要が激減し、最盛期には40軒ほどあったとされる加工業者も今では7軒だそうです。
 大学で情報工学を専攻した武田社長は、卒業後に入社した家電メーカーで、最新家電の電子プログラムの開発設計などを行っていましたが、1989年に家業の武田晒工場に入社。まず、全ての工程で人がかかりっきりになっている超アナログな現場に驚いたといいます。
 「こんなことではいけないと、すぐに製造現場にコンピュータを導入。それによって品質の安定と省力化を図ることができました。さらに自社の強みを作ろうと、家電メーカー時代に開発に関わった抗菌技術を活かして銀イオン加工などをオプションで手がけるようになったのです」と語る武田社長。
 次に挑んだのは、環境にやさしい和晒でした。化成ソーダなどの強力な薬剤を一切用いず、身体に配慮した薬剤を量を最小限に減らして使用した結果、純白にはなりませんでしたが、染色には何ら問題はないということがわかりました。こうして誕生した同社独自の加工法「Eco晒」こそが、次に踏み出す足がかりとなったのです。


先染めした糸で織る二重ガーゼ色落ちせず肌にやさしい生地に

 晒加工業もこれからの時代に生き残るには、自社ブランドを立ち上げるべきだと考えていた武田社長。そんなある日、二重ガーゼのことを知り、「Eco晒」で加工してみると、柔らかく仕上がり、そこから肌着を思いついたといいます。しかし、商品展開するのに無地だけというわけにはいかず、かといって染色すれば、染料が肌に触れたり、洗った最初に色落ちするなどの問題がありました。
 「そこで考えたのが、織る前の糸の段階で先染めする方法でした。通常の工程を入れ替え、最初に染め、最後に晒すことで、色落ちしない生地づくりに成功したのです。しかも色糸を使うのは、肌に接しない表側だけとしました」。
 さて、これをどう製品化するかというタイミングで、武田社長に一つの出会いがありました。2012年に、若手クリエイターを対象に伝統産業を紹介するセミナーの講師に招かれ、そこでアパレル業界に詳しい女性クリエイターと知り合ったのです。敏感な肌にも安心な生地ということで、ベビー肌着ブランドを立ち上げることにしました。子どもの健康のためにはコストを惜しまず、良質のものを求める市場の傾向があることも、武田社長の考えるブランド戦略に合致するところでした。


洗えば洗うほど柔らかい和晒でベビー肌着ブランドを展開

 「天使のころも」と名付けたベビー肌着ブランドを、さっそく2013年の「東京国際ギフトショー」に出展することを決めたことから、製品づくりはもちろん、ロゴやパッケージの作成なども急ピッチで進められたといいます。生後24ヶ月までのベビー用品にはホルムアルデヒド検査がより厳しいことや、赤ちゃんの肌に刺激を与えないように縫い目は表側に出すことも初めて知ったとか。
 そうして苦労して送り出した「天使のころも」ブランドは、昨年東京で行ったテストマーケティングでも好評を博し、和晒の技術を活かした肌にやさしい生地の可能性を実感したといいます。
 「洋晒は生地にストレスをかけるため、繊維をつぶしてしまうのに対し、和晒は生地を動かさないので、糸は丸いまま。和晒が洗えば洗うほど柔らかくなるのは、繊維が綿に近づくからなんですね。この和晒の良さをもっと広く知っていただきたい。そのために、『天使のころも』ブランドのラインナップの充実とともに、素材として生地の販売も行います。すでにOEMでパジャマが商品化されていますし、弊社でもこれからホームウエアへの展開も考えているところです」と武田社長。和晒の肌へのやさしさや通気性・吸水性の高さなどは、健康ニーズに応えるものとして、今後ますます期待されます。


▲ベビー肌着で使用されている二重ガーゼの生地も販売。好きなサイズにカットして赤ちゃんのお尻ふきなど自由に使える。

和晒の魅力をもっと広く伝えたい2020年の東京五輪でもアピールできたら

かつては各家庭に反巻きの晒が常備され、布巾や手ぬぐいとさまざまに活用されていた和晒。「ガーデニングでも、晒は土の上に置けば雑草予防になり、保湿・保水の役割も果たします。そのまま放置して朽ちても、自然素材ですから土に還りますしね」と武田社長。日本伝統のすばらしい技術として、2020年の東京オリンピックでは注染の浴衣を着てお迎えをしてくれないかなと語っていました。

株式会社武田晒工場

代表者名代表取締役 武田清孝
本社堺市中区毛穴町197-2
TEL072-271-0504
設立1911年創業 1962年設立
資本金1,000万円
従業員数20名
事業内容綿織物(小巾、広巾、ロールタオル)の精錬・晒加工、繊維製品の製造・加工・販売
ホームページ http://www.takeda-sarashi.jp/

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