インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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シルバーカーにロボットを搭載 株式会社幸和製作所 代表取締役社長玉田秀明

40年以上前に高齢者用歩行補助車に着眼

 玉田栄一現会長が乳母車の製造・販売で創業したのが1965年。その5年後の1970年には、今日のように高齢者用の用品という市場が確立されていないなかで、国内初のシルバーカーの製造販売を開始しています。そのきっかけは、営業に出かけた先で、杖代わりに乳母車を押している高齢者を見かけたことでした。空っぽの車では前輪が浮くため石を乗せているのを見て、高齢者のための杖車を作ろうと思い立ったのだとか。発売後しばらくは、シルバーカー自体が認知されていないことから、販路の開拓に苦労したようですが、今ではすっかり社会に浸透しています。
 シルバーカーの製造販売が主事業だった幸和製作所が大きな転機を迎えたのは、2005年、新社長に就任した玉田秀明社長が、これからは福祉用具の総合メーカーを目指すと目標を掲げたことでした。「これがあったから、一人でできるようになった」「今までより暮らしが快適になった」と高齢者の生活改善に役立つものづくりを追求していきたいと、2007年には、自社ブランド「TacaoF(テイコブ)」を立ち上げ、「歩行」だけでなく、「入浴」「排泄」「食事」「睡眠」などさまざまな生活シーンで高齢者や介護者に役立つ福祉用品を展開しています。


5年がかりで開発されたロボット歩行車に高評価

 ブランドの立ち上げから10年足らずで、現在の取り扱いアイテム数は約200。玉田社長は「製品開発担当の社員は約20名。弊社の企業規模からすれば、かなり多いでしょう。さらに、高齢者や介護・介助者の大変さを肌身で理解してもらおうと、全社員を高齢者施設などにボランティアとして派遣しており、現場で不便に感じていることの解決法を模索するなかで、新製品のアイデアが見つかるんです」と語っています。
 そうしたなかで今、国や大学、福祉施設などから大変注目されているのは、一昨年に業界で初めて開発されたロボット歩行車「リトルキーパス」です。大きな特長はまず、坂道での歩行サポート。上り坂ではオートアシストで楽に上がることができ、下り坂では自動的にスピードを制御します。また、坂道を横断する時には、左右のタイヤが同速度で回転するよう制御され、下り側へ車体が横流れするのを防止します。さらに、使用者がバランスを崩しそうになった時にも、センサーによってブレーキが自動的に働き、転倒を防止するというものです。
 進行方向に推進させる力と、真逆の制御する力の両方を、瞬時に歩行車に判断させなければならない点が、電動アシスト自転車とは異なって難しい点だったとか。その他に傾斜を検知するセンサーやモーターの取り付けについても、使用者の邪魔にならず、しかも段差があってもぶつけることのない位置を見極めるのに苦労されたといいます。
 その安全性、有用性が評価され、昨年3月に、ロボット技術を搭載した福祉用具では初めて介護保険が適用されたほか、10月には経済産業省と一般社団法人日本機械工業連合会が主催する「第7回ロボット大賞」で、最優秀中小・ベンチャー企業賞を受賞しています。


製造過程から厳しい品質管理リスクを限りなくゼロへ

 初代リトルキーパスは、アシストがかなり必要な高齢者を想定して製作されたために大きなモーターとバッテリーが必要で、車体も大きなものとなりました。現場の評価が高まる一方で、もっと扱いやすく購入しやすいものをという要望も多く、わずか1年でロボット部分の小型・軽量化に成功。重量が10㎏を下回る「リトルキーパスS」を昨年10月に新発売しています。
 高齢者が使用する福祉用具で自社ブランドを展開することは、一方で製品に対する責任もより大きいということです。同社では最終製品の検査だけでなく、開発や部品の設計など、製造工程から厳しい品質管理を実施しているそうです。また、リスク管理については透明性を高めるためと、ガバナンスを効かせるために社内にリスク管理委員会を設置しており、少しでもリスクがあれば委員会の審議にかけています。「製品への信頼というのは一朝一夕で作られるものではなく、想定されるリスクにどう対応すべきか、長年に積み重ねてきたデータやノウハウは弊社の強みだと思っています」と玉田社長。製品につけられている「TacaoF」のロゴは、同社が約束する「安全・安心」、そして信頼の証となっています。


▲前モデルの約60%という軽量化に成功した「リトルキーパスS」。車体も本体幅47.5cmとスリム。

「TacaoF」ブランドを海外へ介護用品の市場を作っていく。

「介護保険のない国では、福祉用具は障害者用がほとんどで高齢者用という認識がない」と玉田社長。日本でも2000年に介護保険が導入される前は、高齢者用品の市場は確立されていなかったといいます。今後は、介護保険が導入されている韓国や導入予定の台湾を中心に、東南アジアで積極的に販路を開拓していく考えの玉田社長。「介護用品を使う文化づくりから担っていきたい」と意気込みを語っていました。

株式会社幸和製作所

代表者名代表取締役社長 玉田秀明
本社堺市堺区海山町3-159-1
TEL072-238-0459(代)
設立1965年創業 1987年設立
資本金1億7,867万75円
従業員数連結502名(国内126名)
事業内容歩行車、歩行器、シルバーカー、車いす、杖、靴、入浴用品、食事・健康関連、床周り・衣類関連、排泄関連の製造および販売全般
ホームページ http://www.tacaof.co.jp/

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