インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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部品供給装置ひと筋に自動車産業に貢献 株式会社テクノアオヤマ 代表取締役 青山 省司

発明好きの創業者が考案したフィーダーが大ヒット

 株式会社テクノアオヤマは、1969年の創業からボルトやナットを指定の位置に供給するフィーダーの開発・製造を行っている専門メーカーです。フィーダー開発のきっかけは、若いころから発明好きだったという創業者の青山好高会長が、自動車の部品メーカーに勤めていた時に、部品を自動的に供給する装置があれば生産性が上がるはずと思いついたことだったとか。リスクを恐れて製品化に踏み切れなかった勤務先の応援を受け起業。今日につながるフィーダーの製品化を実現しました。創業当時は量産できる機械もないなか、注文が相次ぎ、生産が間に合わないほどだったといいます。
 それから約半世紀、フィーダーひと筋に事業を展開してきたことについて、青山省司社長は「ニッチな領域ですが、他社に絶対に負けない守るべき城だと考えています。ナットといっても多種多様な形状、サイズがあり、生産ラインもお得意先企業ごとに異なりますから、それに合わせてきめ細かくカスタマイズできるのも、フィーダーに特化して技術を磨いてきたからこそ」と語っています。自社の強みを深堀りし、優位性を確保するというのが、同社の経営戦略のようです。


▲精密部品の削り出し。同社の精度の高いものづくりこそが、得意先企業の大きな信頼につながっている。

独自に磨いた技術開発力で自動車業界のパートナー企業に

 過去に中小企業庁長官賞や文部科学大臣賞、大阪府発明功績者賞など、数々の賞を受賞していることが物語っているように、テクノアオヤマのものづくりは、その発想力、開発力の高さに驚かされます。例えば、1987年に独自に開発した、磁力を利用してナットやボルトを正確に供給する「マグネット・レシプロ方式」や、エアでチューブの中を瞬時にナットが飛んで供給される「エアーエスケープ式ナットフィーダー」は生産効率を大幅に向上しました。0・65㎜以下の薄鋼板にも電気溶接のできるスタッドボルトフィーダーは、プレス鋼板へのボルト溶接の高速化と品質向上を実現したとして、自動車メーカー各社が採用しています。


▲裏返ることなく正確にナットを供給する「エアーエスケープ式ナットフィーダー」

 こうした技術開発について、「常にお得意先の、特に現場の声に耳を傾け、少しの不満でもあれば、それを解決するために技術を磨き、製品をブラッシュアップしてきました。今や世界に通用する"Kaizen(改善)"の積み重ねですね。お客様に育てていただいたようなものです」と話す青山社長。主要得意先である国内最大手自動車メーカーの国内工場には毎週、北米、欧州、アジアなどの海外工場にも毎年、足を運んで現場を見て回っているほか、機会があれば、海外の自動車メーカーの工場も見学しているといいます。
 「自動車メーカーと外部協力会社の関係については世の中で厳しく見られることもありますが、パートナーとして認められると、これからの新製品開発の方向性を先に伺うことができたり、現場で課題となっていることの相談をいただいたり、海外15カ国で特許を取得する時にも力になっていただいたりと、共に歩いていこうという姿勢で温かくサポートしていただけることが多いですね」と青山社長。それは同社が真摯に、必要とされる質の高い技術を磨き続けてきたからだといえるでしょう。


▲国際特許製品である「スタッドボルトフィーダー」

▲指定した本数のボルトを確実に取り出せる「ボルト定量取出し装置」

安全、品質、コスト削減の徹底追求で誇るべき日本のものづくりを再び

 自動車産業のものづくりで求められるのは、第一に安全の確保、品質、コスト、そしてスピードです。1つのラインで1秒縮めたいというオーダーが出たこともあったとか。それも年間にすれば、1ライン数百台の増産につながります。テクノアオヤマは、それをフィーダーという設備で貢献すべく、新たな技術を開発し、製品化してきました。「プライベートで妻の買い物に付き合っても、無駄な動線が気になるほど、日々、いかに安全な製品を無駄なく効率的に生産できるかということが頭から離れませんね」と苦笑いする青山社長。しかし、この海外のどこも真似できない高度な生産方式こそが、日本のものづくりの真骨頂だと語っています。
 最近はロケットの製造にも関わっているテクノアオヤマ。今後、海外市場への参入を目指す日本の宇宙開発事業のなかで、同社が自動車産業で培ったノウハウにも大きな期待が寄せられることでしょう。
 「ロケットばかりではないですよ。安全性や品質管理、コストの削減などを徹底して追求してきた弊社の製品は、海外との競争力を高め、日本のものづくりを再び盛り上げるのに広い業界、業種で必ず貢献できると信じています」と、青山社長は力強く語っていました。


▲丹念に精度をチェック。真摯なものづくりの姿勢から、自社製品への揺るぎない自信が生まれている。

株式会社テクノアオヤマ

代表者名代表取締役 青山 省司
本社堺市中区深阪4-15-12
TEL072-234-3320
設立1969年創業 1983年設立
資本金1,000万円
従業員数25名
事業内容スタッドボルトフィーダー、ボルトフィーダー、ナットフィーダーの開発・製造・販売、各種小物部品の自動供給装置の製造・販売
ホームページ http://www.t-aoyama.co.jp

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