インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~
お客様のニーズを的確につかむ商社としての提案力を重視
"メーカー機能と商社機能を併せ持つ技術集団"をうたう太陽パーツ株式会社は、金属から樹脂、ゴムにいたるまでの豊富な取扱商品と、製法特許を持つエコダイカストをはじめとする多様な加工技術、そして自社で企画開発した住宅設備機器のオリジナル商品などを武器に、順調に売上を伸ばしています。
城岡陽志社長は「メーカー機能とは、安く良いものを製造する機能であり、商社機能とは提案力なんですね。お得意先にとって、その両方を備えていることが理想的であり、当社はそれを追求してきました」と語ります。もともとは機械部品商社だった同社が、より売上の拡大を図るためにメーカーに転身した後も重視しているのが、そうした提案力、つまり販売力だとか。
「最近は、お得意先がネットで標準品を直接取り寄せられることもありますが、それを脅威には感じていません。
なぜなら当社の営業担当は単なる御用聞きではなく、"セールス・エンジニア"として、お得意先からの課題に即応することで信頼関係を作っているからです。お得意先からも高い評価をいただいています」。
▲石原工場内の昇降棚製造ライン。
中国・上海にも工場を持ち、低コストを追求する得意先のニーズに対応している。
▲太陽パーツの強みは、企画開発力。エコダイカスト製法をはじめ、システムキッチンの昇降戸棚を自社開発。昇降戸棚は70%のシェアを誇る。
ものづくりの好きな人材を採用、セールス・エンジニアに育成
そうした提案力を発揮する人材づくりについて、城岡社長は「人材への投資はなかなか結果が見えません。一人に2年で1千万円をかけたとしても、2年で回収できるわけもない。だからといって、確実に稼いでくれる機械に投資した方が良いとは思いません。企業が長く生き残っていくためには、人材こそが全てです。当社のセールス・エンジニアは技術者ではありませんが、技術的レベルでお客様と商談ができますし、複雑な図面もひけます。もちろん、専門的な打ち合わせには技術者が同行しますが、まずお客様の課題解決のためのアイデアを出す力は備えています。そのための基本的なことは研修や社内勉強会で教えていますが、まずは採用の段階でものづくりの好きな人間かどうかを見ますね。バイクいじりなどが好きな人は、工場でも技術者のすることをじっと見ていますよ。自分でも勉強しています。そうやって一人前になるまでに約5年。失敗もするでしょうが、当社は前向きにチャレンジしての失敗なら大いに評価します」。
▲「当社の仕事を通じて、人間としても成長してくれれば嬉しい」と語る城岡社長。
前向きな取り組みの失敗で貴重な人材を潰さない
大きな成果を残した社員はもちろん、前向きな挑戦で失敗した結果、次につながるノウハウを残したなら、その社員も表彰しようという同社の"大失敗賞"は、テレビ番組や雑誌などでも紹介され一躍有名に。選出するのは社長ではなく、社員で構成する委員会です。「社員数の多い大企業と違って、中小企業には貴重な人材です。前向きに取り組んだ結果の失敗で潰したくない」という城岡社長の考えがそこにありました。
そして、さらにユニークなのは、"商店制"という経営組織。セールス・エンジニアにアシスタント、発注管理者、出荷管理者で"商店"というチームを構成し、その中で売上や経費、人件費をも管理させる、管理会計制度を応用したマネジメント法です。「利益が出れば、決算賞与も出します。社員一人ひとりの経営センスが磨かれて、いい加減な見積もりはしなくなりましたよ(笑)」と城岡社長。社員のモチベーションを高めることが何よりの人づくりであることを、赤字知らずの同社の活力が証明しているようです。
▲大失敗賞については、大きな設備投資をして失敗した城岡社長も受賞者の一人。
太陽パーツ株式会社
代表者 | 代表取締役 城岡陽志 |
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本社 | 堺市北区八下北1-23 |
TEL | 072-259-9339 |
設立 | 1980年1月創業 1983年5月法人設立 |
資本金 | 3,000万円 |
従業員数 | 130名 |
事業内容 | 各種機械部品加工、機械加工、住宅建材などの製品の企画・開発おび製造など。 |
ホームページ | http://www.taiyoparts.co.jp/ |