インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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自社独自の技術を活かして、環境対応型水力発電装置の開発に成功 株式会社山崎 山崎攻社長

着目したのは、農業用水路の流水エネルギー

ベルトやチェーン装置を使わない高効率なコンベアシステムを使った搬送装置で日本をはじめ、アメリカ、イギリス、ドイツでの特許を持つ株式会社山崎。しかし、それらの製品が耐久性に優れているあまり、メンテナンス発注が少なく、販売が拡大しないのが悩みでした。そこで、こうした技術を他の製品に転用しようと2008年12月から開発をスタートさせたのがマイクロ水力発電装置です。「コンベアの特長を活かした多翼形水力発電装置なら、川などの流水のエネルギーから効率よく発電できるのではないかと考えました」と語るのは、山崎攻代表取締役です。同社では、1993年に南極観測船に搭載する風力発電装置を開発。それをきっかけに二酸化炭素を排出しない発電装置に関心を持ったそうですが、風力は出力を高めると騒音の問題があり、設置場所が限定されます。そこで目を付けたのが、全国総延長約40万㎞、うち基幹的水路が約4万5千㎞といわれる農業用水路の、全く利用されていない流水エネルギーでした。


▲「販売の拡大を妨げていた抜群の耐久性が、今度は逆にメンテナンスフリーというアピールポイントになった」と山崎社長。

独自に開発した増速機が、高効率な発電を可能に

水力発電といえば、一般的によく知られるのはダムに代表される落差利用式ですが、それでは3m以上の落差が必要であり、設置場所も限られます。そこで、同社は幅50㎝以上、水深20㎝以上、流速0.5m/秒以上の水路であれば設置可能な流水利用式水力発電に取り組みました。
しかし、開発当初はなかなか発電出力が上がらず、堺市産学共同研究開発事業として大阪府立大学の協力のもと、効率よく流水を受ける水受け板の構造を検証するなど、さまざまな苦労を重ねたとか。「水のゆっくりとした流れから高効率にエネルギーを取り出すには、増速機がポイントだと考えました。そこで、画期的なスクリュー式の増速機を開発。今では水車の1回転を108倍に増速させるまでになっています」と開発に携わった山上仁始さん。さらに、すでに同社で開発済みだったコアレス(鉄芯なし)型発電機の滑らかな回転が、高効率、低振動、低騒音の発電を可能にしています。


▲流水エネルギーを効率良く回収できる「新型スクリュー増速機」


▲流水エネルギーの約80%を電気エネルギーに変換できるまでに高効率を追求する流水利用式マイクロ水力発電装置。

自社の3つの技術を融合させた独創性に高評価

もちろん要となっているのは、同社が特許を持つ回転軸のない"流線型搬送装置"。キャタピラーのような楕円形の水車がわずかな流水エネルギーも効率よく回収します。こうして自社が持つ3つの技術をうまく融合させた独創性と、実用性の高さが評価され、「流水利用式マイクロ水力発電装置」の実用化に向け、財団法人新技術開発財団から「平成22年度新技術開発助成金」が授与されています。
当面は、同水力発電装置の本格的販売開始が大きな目標で、そのための実地検証や改良を重ねているほか、量産に向けて他企業と提携を図り、販路の拡大もねらっています。また、このシステムを使った風力発電にも再び挑戦したいと考えているそうです。「夢は、用水路の上をまたがるように設置する電気自動車の充電ステーション」と山崎社長。自然エネルギーの利用はもちろん、地域で消費する電力を地域で発電する"地産地消"は、遠くの発電所からの送電ロスも少なく済むという点で環境問題への大きな貢献につながることでしょう。

株式会社山崎

代表者 代表取締役 山崎攻
本社 堺市南区三木閉148-1
TEL 072-297-0168
設立 1967年12月創業 1989年12月法人設立
資本金 1,000万円
従業員数 12名
事業内容 各種精密機械部品、流線型搬送システム、工業用ロボット機器、多機能特殊工具などの製造および機械加工。
ホームページ http://www.yamazakico.jp/

株式会社山崎

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