インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~
お客様の「欲しい」をITでカタチに
倉庫の中をぷかぷか浮かびながら、在庫の棚卸をする屋内自律飛行船ロボット「YasBee~(ヤスベー)」。株式会社ワイズ・ラブが大阪府立大学航空宇宙工学科と共同で開発した小型軽量汎用制御基盤を搭載したもので、倉庫内を自在に行き来しながら、物品にあらかじめ取り付けておいたICタグを読み取ります。今後はビル内の警備などにも用途が広がることが期待されるものです。
ワイズ・ラブは、内橋義人社長が「ハードウエアに一歩踏み込んだソフトウエア会社」と語るように、ソフトウエアの開発にとどまらないモノ作りを手がけてきました。例えば、今春に発表された電子ペーパーを使った表示機器もその一つ。液晶ディスプレイに比べて消費電力がかなり小さいことや、書き換えが簡単にできることから、メッセージボードや表示板、電子看板、製造指図書などでの活用を考えて開発したものです。また、「光るタグ☆Vega」も同社の自社製品。病院のカルテのように数多く並んだ書類の中から「取り出したいものが光ってくれたら嬉しいよね」という要望に応えて誕生したとか。取り出した書類を棚のどこに戻してもいいので、事務の手間も大幅に省けるのがメリットです。
▲省電力の電子ペーパーを掲示板・お知らせボードとして利用する「eお知らせペーパー」。
▲LEDを点灯させることで探したいものを簡単に検索できる「光るタグ☆Vega」。すでに、自動車教習所の教習簿の管理に採用されている。電池を使用しないので、メンテナンスフリー。
「Happy」とともに、「Happen」の提供を
「当社のコンセプトは、リアルとバーチャルを融合したユビキタスネットワーク時代のITソリューションの提供です。例えば、あるシャツを買おうと、試着室に持って入りました。他のサイズや色違いがないか、試着室の中の液晶パネルをタッチするだけで表示されたらいいと思いませんか。または、そのシャツと他の商品のコーディネイトを提案してもらえたら?それこそがユビキタスネットワークですよね」。ワイズ・ラブが開発した無線通信機能付きタッチパネル液晶ディスプレイモジュール「IDouch(イダッチ)」は、商品一つひとつにICタグを取り付けて、その情報を無線通信でネットワークすることで、さまざまに展開できる電子POPとして活用できます。
根っからのオタク技術者を自認する内橋社長は「お客様にHappy(顧客満足)とともにHappen(思いがけない驚き)を提供したい。それはこれからも変わることはありません」と語ります。ITを活用して業務の効率化や省力化という顧客のニーズを満たしながら、そこに覗くちょっとした遊び心が、ワイズ・ラブの魅力になっているようです。
▲「夢はお世話になった中百舌鳥の地に自社ビルを建てること」と語る内橋社長のもう一つの夢は、理系離れがいわれる次世代に向けて「IT塾」を主宰することだとか。
新たなITビジネスは、現業の技術力とノウハウを強みに
売り上げの大きな柱である受託開発においても、「受け身」に終わらないのがワイズ・ラブです。「言われたままの仕事ではなく、そこに何か新しい提案を入れるようにしています。それによって技術の蓄積は可能だし、自社の技術力を高めたり、技術者のモチベーションを上げたりすることにも役立つ」と内橋社長。
最後に、中小企業がITビジネスに取り組むことについて、全く一から始めるのではなく、現業を土台に発想した方がいいと語ります。金属加工業用のアプリなど、自社が培ってきたノウハウや技術力にこそ価値があるからだとか。例えば、今後注目されるのはエネルギーソリューション。ITというツールを使いながら、どのような顧客や社会のニーズに応えていくのか。I Tビジネスの成功の鍵はそこにあるようです。
▲営業担当も総務担当も社員全員がソフトウエアのエンジニア。「光るタグ☆Vega」を囲んで。当日、急な出張で不在の内橋社長は写真で参加。
株式会社ワイズ・ラブ
代表者 | 代表取締役 内橋義人 |
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本社 | 堺市北区長曽根町130-42 さかい新事業創造センター212号 |
TEL | 072-254-5109 |
設立 | 1988年創業 1995年設立 |
資本金 | 1,000万円 |
従業員数 | 12名 |
事業内容 | 組込用マイコンアプリケーション開発、電子ペーパーソリューション、RFIDソリューション、タッチパネル液晶ソリューション、センサソリューションなど |
ホームページ | http://www.yslab.co.jp/ |