インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~
誰もが働きたくなる会社をめざして
特殊鋼の切断販売から始まって、今では金型や型部品、治工具、そしてダイセット本体の製造販売までを手がける南海鋼材株式会社。製販一体型の「創る商社」としての強みを備えて事業を拡大してきた企業です。
同社では、そうした成長とともに、社員の育児などを積極的にサポートする「ワークライフバランス」に取り組んでいます。福原實晴社長は「ワークライフバランスを特別に意識していません。ただ、誰に聞いても、働きたい会社は給料が高くて、休みが多くて、職場環境も人間関係も良いことでしょう。そういう会社づくりをしたいというのが基本」と語っています。
ところで、その取り組みは驚くべきものです。まず定年の規定はあるものの、本人の意欲があれば好きなだけ働き続けることができます。これまで最高で72歳まで働いた社員もいるとか。女性を積極的に活用し、管理職にも女性の多い同社では、育児休暇も取得しやすく、最近では男性社員が長期取得した例もあるそうです。
▲社長自らが得意先の現場を見て歩き、需要を実感したという金型用予熱装置「予熱くん」。キャラクターも作成するなど、力を入れている主力商品。
社員みんなで利益を共有し、支え合う企業づくりを実践
以前、末期ガンで余命を宣告された社員がいたそうです。子ども二人を抱える身だったので、出勤できる間はずっと若手への技術指導をする条件で亡くなるまでの給料を払い続けました。若手は必死で技術を習得し、他の社員たちには「この会社は何があっても社員を見捨てない」という安心感を与えたようです。
「ラグビーで有名なOne for All, All for One、社員がみんなで支え合う精神ですね。それを実現できるのは会社に余裕があるから。利益を上げているからです。そして、それらの取り組みを社員自ら率先してやっていることが重要なんです。社員にしてもこの会社を守ることは自分たちを守ることになるから」(福原社長)。
日頃から月次売上げなどをオープンにしていることも、会社の利益を上げようという社員のモチベーションアップにつながっているようです。
▲おおらかな社長のもとで、のびのびと働く社員のみなさん。得意先企業からも「これほど社員の裁量が大きく、すぐに判断し行動してくれる会社は少ない」と驚かれるとか。
▲リーマンショック後、会社の売上げが非常に落ち込んだ時に、社内でおやじバンド「南海ドルフィンズ」を結成した福原社長。社内の暗い空気を払拭するのに貢献した。ライブの様子を紹介する社内報(右)。
ゆとりが工程に工夫を生み、競争力を強化する
いつ誰が育児や病気による長期欠勤になってもいいように、人員にゆとりを持たしているという同社の現場を見た得意先企業は、NC工作機1台に1人ずつが担当していることに一様に驚くといいます。
「一見ムダかもしれませんが、代わりに今まで10時間かかっていたものを7時間あるいは5時間でやる方法を考えてみろと言っています。余裕があるから製造工程にも工夫ができる。結果、効率化も合理化も図られ競争力が生まれています」と福原社長。
今年3月に堺浜工場が竣工しました。「飛行機が怖いから、海外へは進出しないんです」と笑う福原社長だが、新工場には福原社長の大きな夢が託されています。海外では作れない複合合金化された金型や、1週間という超短期で納品できるダイセットプレートなど、日本にいながらに海外進出した企業を支える事業です。「私はいつも自分のビジョンを社員たちにはっきりと示し、社員にも夢を与える。それが社長の仕事だと思っています」と語っています。
▲福原社長の信念は「夢・情・感・粋」。新事業を展開する時も「この事業に夢はあるか、情けはあるか、感性が時代に合っているか、格好いいか」と自問するという。
▲社長自らが「ゴンドラのイメージ」とデザインした「CAD・CAM室」。社長の遊び心が生きている。
▲金型の高精度加工を短時間で行うのも同社の強み。
南海鋼材株式会社
代表者 | 代表取締役社長 福原實晴 |
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本社 | 堺市堺区北庄町2-2-10 |
TEL | 072-233-1525(代) |
設立 | 1950年 |
資本金 | 1,600万円 |
従業員数 | 150名 |
事業内容 | 特殊鋼・工具鋼・金型用鋼の切断販売、金型・型部品・各種治工具の製造販売、鍛造プレス用ダイセットの販売、海外における金型及び型部品加工委託 など |
ホームページ | http://www.nankaikozai.co.jp/ |