インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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まず社員がその目的を理解しなければ、真の「5S」は成し遂げられない 南海金属株式会社 柳 善朗 社長

「心」を変えなければ、「行動」「習慣」は変わらない。

終戦直後に先代が自宅の一角で起業し、後に大手農機メーカーの農業機械の製造に携わることになって60年以上の年月を数える南海金属(株)。かつての、窓によろい戸しかなかった薄暗い工場に、15歳だった柳善朗社長は「いつか世界一の工場を作る!」と先代に向かって豪語したそうです。そして今も、柳社長が強く信じて疑わないのは、世界に誇るものづくりを支えるのは、世界一の工場なのだということ。
「もう30年も前から、工場をきれいにしろと言い続けてきました。だけど、それが継続されない。ようやくその理由がわかったのです。『心が変われば、態度が変わる。態度が変われば、行動が変わる。行動が変われば、習慣が変わる。習慣が変われば、人格が変わる。(後略)』という有名な言葉がありますが、これまではいきなり行動や習慣を変えようとして、社員の心を変える教育をしてこなかった。なぜ5Sが必要なのかという真の目的を正しく理解しないままにできるわけがなかったんです」と柳社長。まずは社員の「心」を変えるべく、意識高揚を目的とした社員による映像づくりや勉強会を行ってきました。


▲建設機械のホイルローダーのバケットも、10分の1ミリ単位での精度が求められる。


▲南海金属の高い溶接技術で、農業機械の複雑な形状の部品が組み立てられる。

徹底したムダの排除が企業の大きな利益に

では、5Sの真の目的とは何か?あらためて柳社長に問うと「それは徹底したムダの排除であり、企業としての価値を上げること。それが大きな利益を生み出すのです」と答えました。
工場内を歩けば、各所に「世界一をめざす」というスローガンが目に付きます。白線内に一直線に並ぶカート。通路が広く確保されています。積み出し口に向かって手前から順々に次の工程に送っていくラインができており、部品も人もムダに移動することがありません。しかも、積み出し口は前後に2カ所。一つのラインは主要得意先である農機メーカーの専門ラインで、もう一方がその他の納品先のラインとなって、それぞれの部品が工場内で混同しないよう整理されていました。
このような5Sの取り組みが、少量多品種生産を短納期で応える現場を作り、それが評価されて2012年11月には「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞しています。

ベトナムの新工場で日本の「5S」を具現化

世界一の工場を作るという柳社長の夢は、昨年ベトナムでも実現しました。「グローバルな食・住に関わるものづくり」を経営ビジョンに掲げて設立されたベトナムの新工場は「現地社員たちがプライドと自信を持ち、世界に誇ることのできるものを」という柳社長の思い通り、南側がガラス張りという斬新で明るい工場となっています。
「東南アジアの中でもベトナムにおいて、2015年以降、日本の影響力は増すと考えています。そのベトナムで、弊社の5Sをより具現化した工場ができました。新工場を見れば、弊社がめざす方向も一目瞭然に理解されるでしょう」(柳社長談)。
社員にタブレットを支給するなど、より業務の効率化を進めつつある南海金属を取材し、柳社長の語る「世界に誇れる日本のものづくり」は、やはり日本の製造業が生み出した5Sによって成し遂げられてきたのだということを強く実感しました。


▲2013年秋に竣工式を迎えたばかりのベトナム工場。満月も見えるようにガラス張りにされたという。


▲清掃のエリアと各担当者が一覧で表示されている。


▲製造ライン上の原材料も部品も美しく整理されている。

南海金属株式会社

代表者 代表取締役 柳 善朗
本社 堺市西区築港新町2-6-21
TEL 072-245-7201
設立 1953年創業 1968年設立
資本金 2,600万円
従業員数 110名
事業内容 農業機械、建設機械、一般産業機械における板金加工部品の製造、設計及び開発
ホームページ http://nankai-kinzoku.co.jp/

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