インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~
景気に左右されない強みを自社開発製品で
創業当時は、親会社一社に売上を依存していたという平野整機工業(株)。それでは景気の波に左右されると危機意識を持った創業者の平野良一現会長が取引先を拡大するとともに進めたのが、自社商品の開発でした。第一号は甲子園球場でも採用されたグラウンド吸水機「ミズトーラー」。その後、ドラムリフターやラベル貼付機などを生み出しています。
粗砕機「砕き太郎」も同社の高い開発力から生まれたオリジナル製品。開発のきっかけは、お得意先で中身の固まった袋をバッドで叩くのを見たことだったといいます。
「袋詰めの粉末原料が長期間の保存や下積みなどで固化してしまったものを、これまでは棒で叩いたり床に叩きつけたりされていました。袋が破けずに中身をほぐすことができればと考え、十数年前に開発を始めたものです。我々は大手企業との競合を避け、こうしたニッチな領域を攻めていきたいと考えています。おかげさまで、同様の機械でています」と平野隆雄社長が語っています。
▲同社の強みは、オーダーメイド製品の設計から製造、整備まで対応できる柔軟で高い技術力だ。
人件費の低減や人材の有効活用にも貢献
「砕き太郎」は、化学薬品メーカーや食品メーカーのほか、倉庫・運輸関係や酪農農家から多くの引合いがありますが、袋の中身も袋の厚さも百種百様。破袋することのないよう、発注先に応じて加圧する強さなどを調整してから出荷しているそうです。開発にあたっては、汎用性を高めるために一つでも多くの事例を集め、充塡時に近い状態まで細かくほぐすためにローラーの形状に工夫を施すなど、10回近くの改良を加えられたとか。中身をほぐすだけでなく、均一に厚みを整える機能も備えて、それまで人力でほぐしていたのに比べ人件費が10分の1まで低減できたことや、男性に限らず女性にも作業ができることから人材の有効活用という点でもお得意先から高く評価されているそうです。
「砕き太郎」の販路を東南アジアやヨーロッパにも
日本最大級とされる製造業エンジニア向け情報サイト「イプロス」で紹介されている約15万点のソリューション製品の中で、検索数81位となった「砕き太郎」。それだけニーズの高い製品だと平野社長も自負しています。「弊社は昔から提案型企業です。機械の保守事業についても言われたままに業務を行うのではなく、より効率的に活用いただくための提案をしていますし、突発的なお困り事にも全力で対応します。私たちは、お客様の『知恵袋』であり『武器』でありたい。社員にも日頃から、お客様の課題を解決するための知恵『ウイット』を大事にしろと言っています」(平野社長)。
「砕き太郎」については、海外からの発注もあるとか。今後は東南アジアやヨーロッパに向けて販路を拡大したいと平野社長は抱負を語られています。お得意先の課題に細やかに目配り気配りする平野イズムが、必ず海外においても高い評価を得て、発展につなげることでしょう。
▲発注先に応じて加圧する強さなどを調整して出荷される粗砕機「砕き太郎」。今秋には、別素材と大型向けの粗砕機が登場予定。
平野整機工業株式会社
代表者 | 代表取締役社長 平野隆雄 |
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本社 | 堺市堺区大浜北町2-2-4 |
TEL | 072-228-1775 |
設立 | 1965年創業 1968年設立 |
資本金 | 1,000万円 |
従業員数 | 34名 |
事業内容 | プラント設備・化学工業用機械、産業用機械の設計・製作・保守、汎用製品の設計・製作・販売 |
ホームページ | http://www.hiranoseiki.co.jp/ |
山本工場