インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~
PTA役員の立場で知った、現場の負担の大きさ
式典の準備などのために、学校の体育館でシートを敷いた経験のある人なら誰でも、あの埃っぽく、さわった手が砂でざらつく不快感に覚えがあることでしょう。(株)中西製作所の中西正人社長も約10年前、PTA 役員を務めていた小学校で面倒なシート敷きを体験。シート敷きや片づけが大きな負担であることを自ら実感しました。
そこで、ロールを使ったシート巻き取りを製作し学校に寄贈したところ、教員の方々から大絶賛されたといいます。「学校のホームページでもわざわざ取り上げていただくほど喜んでいただいて、これまでずいぶん困っていたんだなと思いました」と中西社長。このことをきっかけに、シート巻き取り器の本格的な製品化に取り組み始めたのが約8年前のことです。
製品の魅力を高めるためにデザインなどをプロに依頼
もともと中西製作所は、オフィス家具や店舗什器などの製作に豊富な実績を誇っています。海外の低価格な既製品との競合を避けて、ウッドと鉄を組み合わせた椅子などデザイン性の高いオリジナル製品を小ロットから受注する、いわゆる「少量多品種生産」を得意とし、どのような設計図にも高い加工技術で応えています。コストや強度面で逆提案することもあるとか。
同社がシートの巻き取り器を市販用に開発することは、技術的には難しいことではありませんでしたが、自社ブランドの製品を市場に送り出すうえで重視したのが、ネーミングでありデザインでした。「いかに優れた機能を備えていても、"売れる製品"にするためにはマーケティングの視点が重要だと考え、堺市産業振興センターにお願いし、プロに手伝ってもらうことにしたのです」と中西社長は語っています。
「SHEETON(シートン)」とネーミングされたシート巻き取り器は、本体重量が15㎏足らずと軽量化が図られ、しかもキャスター付きなので、子どもや女性でも楽に運び出すことができます。シートはロールに巻かれるので、従来の折りたたみ収納と違い、敷いた時の波打ちがなく安全。使用後はハンドルを回してスルスルと巻き取り、そのまま保管用ハンガーとなるので、作業性が大幅に向上しました。
プロのデザイナーによる独創的で繊細なフォルムは、見た目の美しさだけではなく、複数台の巻き取り器が省スペースで収納できるよう工夫されています。色も基本の4色のほか、別注にも応じるなどカラーバリエーションも豊富にしました。
▲スタイリッシュなフォルムが、さまざまな業界の企業からの関心を集めているシート巻き取り器「SHEETON」。
思わぬところからの発注が相次いで
さて、大きな需要を見込んだ学校関係は、予算面の制約もあり、当初の思惑通りとはいきませんが、教材会社のカタログに掲載されたほか、新たな販路を求めて東京で開催される健康やスポーツ関連の展示会にも積極的に出品。思わぬところから大きな反響がありました。まず、プロのバスケットボールチームが観客席用に購入したほか、海上自衛隊が避難所用として導入を決定。さらには、展示会のレセプションパーティ会場にタイアップでシートを提供したところ、そこで料理をケータリングした企業から高い関心が示されています。
「自ら現場で体感したことを活かした強みがこの製品にはありますね。今後も展示会を中心に積極的に製品の周知を図っていきたいです」と中西社長は語っています。
▲色とりどりの鮮やかなシートを使ったレセプションパーティ会場。この会場をきっかけに新たな商談も生まれた。
▲パイプ曲げ加工や溶接などの高い加工技術を有する中西製作所。
株式会社中西製作所
代表者 | 代表取締役 中西正人 |
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本社 | 堺市堺区三宝町2-138-2 |
TEL | 072-229-1812 |
設立 | 1972年創業 1983年設立 |
資本金 | 1,000万円 |
従業員数 | 7名 |
事業内容 | 鋼製家具製作、パイプ曲げ加工、プレス加工、溶接加工、各種什器製作、組立・梱包 |
ホームページ | http://www.nakanishi-ss.com/ |