インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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二次電池の進化を支え続けて

ニッケル触媒からスタートし、今ではリチウムイオン電池の正極用材料の開発・製造を主軸に事業を展開。同社の強みは、自社独自の企画開発力。社内に中央研究所を抱え、経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業などを活用して、さまざまな無機化学工業薬品の研究開発が進められている。

父親である創業者の思いを受け専業主婦から社長へ

戦後まもない1947年に、工業薬品メーカーとして創業した関西触媒化学(株)。創業者である先代から箕浦康子社長が事業を継いだのは、2003年10月のことでした。
「専業主婦だった私に、父から保険代理店の営業を任されたのが約25年前。経理や保険のことを学びながら2年間、営業をやった後に、関西触媒化学に入社することになりました」と箕浦社長。入社後は、経営企画室や購買部、開発部など本社の中枢ともいえる部署を転属されたとか。経営者としての土壌づくりが先代のねらいだったのでしょう。やがて常務となり、社内でも次期社長と自然に理解されていたといいますが、具体的にその話が持ち上がった時は、ビジネスにも薬品の製造技術についても未熟な自分が経営者になることが果たして会社にとって良いことなのかと3か月も悩んだといいます。
「3か月後、神様から御言葉が与えられ、使命と考え、父が創業し大切に育ててきた事業を承継する決意をしました。」と箕浦社長は語っています。


リチウムイオン電池の長寿命化や高性能化に貢献

関西触媒化学は、二次電池や電子材料向けのニッケル化合物を主軸に、多様な化学工業薬品の製造を行っています。1964年に、ソ連(当時)でのタイヤゴム製造プラントの建設にともなって、日本で初めて触媒や触媒技術を輸出。それをきっかけに、山口県に新工場を建設するなど、今から振り返れば、同社が次のステップへ大きく飛躍するきっかけだったと箕浦社長は言います。
二次電池の材料開発では約50年の歴史があり、なかでも同社が独自に展開しているニッケル系正極材は、レアメタルのコバルトに代わるものとして大変注目されています。今後、電気自動車やスマートハウスなどの普及が予想されるなか、同社の技術が生きるリチウムイオン電池のシェア拡大も期待されるところです。
「当社は自社独自の機械設備と、それを制御する製造技術の両方を持ち合わせており、その豊富なノウハウでどのような顧客ニーズにも迅速に応えられるのが、当社の強みだといえます」と箕浦社長。今後は、環境の浄化をテーマに、製造の過程で出る廃液のリサイクルや、または廃液を出さない材料開発などに取り組んでいきたいと抱負を語られました。


社員の自らの成長を促すサーバント・リーダーシップで

箕浦社長がめざす経営スタイルは、奉仕や支援を通して信頼を獲得し、主体的な協力を得る‶ サーバント・リーダーシップ„です。
「いわば、逆ピラミッド型ですね。現場の社員たちがやりがいを持って元気に働くことのできる環境づくり、それが私の役割だと考えています。先代は自分が一から作った会社なので、全てを把握していましたが、私は各部門長との信頼関係のもと、彼らに部門の運営管理を任せたコミュニケーション経営と考えています」と箕浦社長。
ものづくり企業における女性の活躍については、「もはや、看護師は女性、運転手は男性という時代ではなくなりました。ものづくりの世界でももっと女性が増えてほしいですね。プロジェクトなどに女性が入っている方が、実質的でスピーディに進むことも多いようですよ」。
ご自身も製造業という男社会に飛び込まれたばかりの頃、『べっぴんさん』と呼べば女性は喜ぶと考えているような男性がいたり、目立たないよう黒っぽい服ばかり着ていたこともあったとか。「しかし、最近は女性経営者たちがはつらつと元気です。私も今は、自然体でいようと考えるようになりました。」と輝くような笑顔で話されていたのが印象的でした。


▲二次電池正極材に使われる硝酸ニッケルをはじめ、酢酸ニッケルや硝酸コバルトなど、触媒や表面処理材、磁性材などの工業薬品を多種製造している。

就任直後の事業所巡りで伝えたモットーは「信頼と希望と愛」

社長就任直後には、中期経営計画書を抱えて全事業所を回ったという箕浦社長。そこで全社員に伝えたモットー「信頼と希望と愛」には、お客様に信頼される製品づくりで、この会社を発展させ、そして厳しさをも持った愛でお互いの成長をめざすという思いが込められていたという。「現場には良く行って話をします。いろいろ教えてもらうことの方が多いんですけどね(笑)」。

3社の女性経営者たちからは「格好をつけない」「見栄を張らない」「わからないことは素直に教えを請う」「ムダな時間やお金は使わない」といったことが共通して語られました。堅実であるがゆえに決断力に劣るのか。いいえ。全ての方が現状に甘んじず、大きなビジョンを描いていました。強さと優しさを備えて、女性経営者の活躍がますます期待されます。

関西触媒化学株式会社

代表者 代表取締役社長 箕浦康子
本社 堺市堺区柏木町1-3-13
TEL 072-241-6200
設立 1947年創業 1957年設立
資本金 3億280万円
従業員数 84名
事業内容 触媒化学工業薬品の製造・販売
ホームページ http://www.kansyoku.co.jp/

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