インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~
新社長のあらたな会社づくりは社員と共有できる経営理念から
イタリアの建築デザインのメディアでも紹介された、スタイリッシュなガラス張りの本社ビル。元は倉庫だった建物を、来客を迎え入れるにふさわしく改装されたとのこと。そして、エントランスに一歩足を踏み入れたとたん、事務所の社員全員が立ち上がり、一斉に「いらっしゃいませ」と挨拶されたのには驚かされます。傍のボードには、本日の来客者の名前と歓迎のメッセージ。「おもてなし」の心あふれる応対です。「うちの商品は、社員そのもの。社員の人間性の良さが、うちの強みです」と髙木雅之社長が誇らしげに語ります。
社長就任前は、長く東京で営業に携わっていた髙木社長。本社に戻ってきたのは8年前でした。当時は、すべてを自分の思い通りにと突っ走ったこともあり、前社長時代からの幹部社員と衝突することも。「社内の雰囲気は悪かったですね(笑)。その頃、松下幸之助の言葉に『企業の成功要因の50%は理念の確立』とあるのを読み、社員と共有できる経営理念を創ろうと思いました。
意識の高い社員を募って理念委員会を作り、1年がかりでまとめられた経営理念「誇りと使命を持ち、たくさんの喜びを咲顔(えがお)の器で包みたい」は、日々の業務の中に生きているようです。
お客様とその先の食事をされるお客様の喜びを、私たちの喜びとして
経営理念にもある"咲顔(えがお)の器"に込められた思いについて、髙木社長は「お客様はもちろん、その先でお客様の給食弁当を食べていらっしゃる方々の満足も作っていきたい。業界の成長なくして、我々の成長もありませんから」と語ります。それは髙木社長が主導して制作されたカタログにも表れていました。
「巻頭ページの『お弁当会社はすばらしい』というメッセージには、一つの食文化に寄与されているお客様とともに誇りを持って、給食事業に携わっていきたいという気持ちを込めています。表紙の言葉『気持ちも届ける、お弁当』も"お弁当箱"ではないのはそのためです」。
料理の盛られた実際の食事のシチュエーションの写真が多く並んでいるのは、お客様の参考になればというねらいがあるから。画像の撮り方も、かっこ良さより食べる人の実際の視線を重視されたとか。そこにはお客様企業、そしてその先の食事をされる方への「おもてなし」の心が表れています。
社員の一人ひとりが輝ける職場づくりをめざして
社員の方々のイキイキとした表情が印象的な社内ですが、そこには髙木社長のさまざまな仕掛け、そして仕組みづくりがありました。
「新入社員も学生時代のサークル活動など、自分が主体的に動いていた時は輝いていましたよね。だから、当社では、一人ひとりの社員に活躍できる場を作ろうと思っています。やらされるのではなく、自らやりたいと思えた時、人は変わりますから」と語る髙木社長。例えば、評価されにくい事務職に光を当て、営業が成績を上げ表彰される時はその担当事務員も一緒に表彰することにしたのです。それにより事務社員も営業を積極的に支援、協力するようになり、全社員が営業を支援する社風が形成されていったとのことです。
また、全事業所をテレビ会議でつないで行われる毎朝の朝礼では、経営理念の浸透を図って社員3人ずつ交代で理念体験を語ってもらい、社員の評価の高かった発表を表彰しています。顧客満足、社員満足の向上を役割とする「ミリオン委員会」をはじめ社内4つの委員会では、社員の方が日常的に職場環境の改善や新商品の開発に関わっており、年間を通じて最も高く評価された委員会を表彰する仕組みを導入しています。「おもてなし経営」によって、社員の意欲と能力を最大限に引き出している好例といえるでしょう。
▲浮世絵やリボン柄をあしらった弁当容器のほか、高級感のある網代風弁当などアイデア豊かで種類が非常に多いのが、高品質とあわせて"咲顔の器"の強みでもある。
"学ぶ"姿勢が、おもてなしの経営の原動力に
髙木社長の手帳にびっしりと書き込まれたメモ。先輩経営者から学んだことであったり、本や研修、講演などで心に残った言葉はすべてメモしている。「経営者の一番大切な仕事は学ぶこと」と断言されています。それらはすべて、髙木社長が実践する現在の「おもてなし」の経営に生かされている。
タカギ産業株式会社
代表者名 | 代表取締役 髙木雅之 |
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本社 | 堺市美原区今井390-3 |
TEL | 072-362-3281 |
設立 | 1974年創業 1979年設立 |
資本金 | 1,000万円 |
従業員数 | 45名 |
事業内容 | 業務用食品容器、厨房関連用品などの製造・販売 |
ホームページ | http://www.mc-takagi.co.jp/ |