インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~
多くのバイク愛好家が信頼するカスタムパーツメーカー
「自分だけのバイクを」というバイク愛好家たちの思いに応えて、カスタムパーツなどの製造販売を行うポッシュフェイス。テールランプやフェンダーレスキットなど、アイテム数は1万2千点にものぼります。通常は販売店を通して購入している顧客たちと直接交流できる場である、全国各地で開催される展示会イベントにおいて、同社もデモ用バイクを用意し、製品のアピールはもちろん、顧客の声を聞く場として活用しています。そこでキャッチした顧客ニーズを、次の商品開発にスピーディーに反映させられるところが、製造部門を持つ同社ならではの強み、と角野豊専務取締役は語っています。
そして何よりも、多くのバイク愛好家たちから大きな信頼を得ている理由は、POSH(ポッシュ)というブランド名で親しまれる同社製品の高い品質にありました。「愛好家の方々が求める傷ひとつない美しい仕上がりは、日本の繊細なものづくりが成せる技で、輸入品にはないものです。20年ほど昔のことになりますが、アメリカ製のピストンを見た時に、製造途中の半製品かと思ったこともありました(笑)」と角野正樹社長。
この優れた日本のものづくりを次代へつなぐためにも、若い人を育てていきたいと話しています。
現場で仕事を通して考え自分で答えを見つけることが大切
昨今、若者のバイク離れが顕著で、愛好者の最も厚い層は40~50代のシニアだということです。同社の製造現場も同じような状況にあり、創業時から活躍している当時20代の社員たちが40代となり、事業を継承していくうえで、次世代の育成が重要な課題となっていました。昔は求人すれば、多くのバイク好きが応募したそうですが、今は若い人の採用、定着が難しくなっていることを実感していると角野専務は言います。
そうしたなかで同社では、バイク雑誌に求人広告を出すなど、バイクに関心のある若者にアプローチし、ものづくりが好きな20代を積極的に採用しています。
技術や知識をどのように習得させているのかをうかがいました。
「まずは現場で仕事をしながら覚えてもらいます。よくわからないなりにも、自分で考えてやってみることが大切だと考えていますから。そうして半年から1年経ってから、バイクメーカー主催の講習会に参加させています。現場で自分が疑問に思ったことを専門家に指導されるほうが、納得して学ぶことができる。それが仕事への興味を深めたり面白くなったりするきっかけになると思いますね」と角野専務。
最後の繊細な仕上げは技術者の長年の経験に基づく手作業であり、同じ材料でも夏と冬で異なる環境に応じて作業の加減を変えることも、現場での試行錯誤のなかで体得していくものだということでした。
仕事が合わない時は部署替えの配慮も
せっかく技術を習得させても定着しないという悩みを持つ企業は少なくありません。ポッシュフェイスも例外ではありませんが、一つの解決法として、部署替えを行うこともあるとか。「当社には、"製造""営業""出荷・購買"の3部門がありますが、仕事が合わないと思うようであれば、他部門へ異動させます。それにより新たなやり甲斐を見つけられた人もいますし、違う立場になったことでお互いの仕事への理解が深まる効果もありますね」(角野専務)。
そして、時には製造担当の社員を展示会に連れていくことも。自分が作ったものが購入されるのを見たり、直接ユーザーと話をしたりすることが、仕事への誇りやモチベーションにつながると考えています。
小さいうちからバイクと親しんでもらえればと、イベントに子ども用バイクを提供することもあるポッシュフェイス。「若い人たちに、ものづくりが楽しいということも知ってもらいたい」と角野専務は語っています。
▲角野正樹社長を囲んで
▲展示会用に、ポッシュフェイス製の部品でカスタマイズされたバイク。会社まで訪ねてきたユーザーもいたという。
若い世代の情報発信力や感性を生かした事業展開へ
「展示会会場のその場からフェイスブックなどの SNS で、製品について発信されると、すぐに別のユーザーが見にこられたりして、今の若者たちの情報発信力に驚くばかりです」と角野専務。地図ではなく、スマホにナビをさせたり、簡単にカスタマイズできることが求められたりする現代の若者たちのニーズには、当社の若い社員たちの感性で応えていきたいと語る。
ポッシュフェイス株式会社
代表者名 | 代表取締役 角野正樹 |
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本社 | 堺市堺区南清水町1-7-14 |
TEL | 072-229-2468 |
設立 | 1994年 |
資本金 | 2,000万円 |
従業員数 | 20名 |
事業内容 | 自動二輪車部品製造販売 |
ホームページ | http://www.posh-faith.co.jp/ |