インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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独自の油圧ポンプ技術で、世界へ 株式会社をくだ屋技研 代表取締役社長 奥田 智

自社ブランドとOEMの両方で技術力にさらに磨きをかけて

 1934年の創業以来、株式会社をくだ屋技研が一貫して磨き続けてきたのはポンプ技術です。現在は、同社が最も強みとする油圧ポンプをベースとして、キャッチパレットトラックやパワーリフターなど、主に物流機器の製造・販売に携わっており、なかでもハンドリフトについては、国産メーカーの先駆けとして、国内シェア50%を誇っています。
 そうした自社技術への自信、そして誇りは、90%以上の製品を"O.P.K"という自社ブランドで展開していることからもうかがえます。奥田智社長は「創業以来こだわってきた自社ブランドですが、完成品メーカーであったがゆえに、これまでに何度も遭遇した経済危機を乗り越えてこられたと思っています。一方、OEM製品については、納入先の大手メーカーさんの技術力が高ければ高いほど、溶接一つにしても要求されるレベルも高く、これに対応してきたことで弊社の技術力が磨かれてきたといえます」と語っています。


▲冬場でも冷たくない樹脂製のハンドルをさらに持ちやすく、軽さと使いやすさを追求した結果、2007年グッドデザイン賞を受賞した「キャッチパレットトラック」。

特殊な環境での使用にも応える高いカスタマイズ技術

 同社のポンプ技術の優位性についてはまず、鉄やステンレス、アルミなど異なる素材に対応できることが挙げられます。材質によっては歪みが出たり、硬くて穴をあけることも難しかったりするそうですが、同社が営々と継承してきた熟練の技がそれをクリアしてきました。
 そして、優れた「改造対応力」。例えば半導体製造工場のクリーンルームのような特殊な環境で使用する機器に、1台からでも対応するカスタマイズ技術は、同社が長年に蓄積したノウハウがあるからこその強みでしょう。
 「弊社の信条は、『常に社会に貢献する企業でありたい』。では、何で貢献できるかといえば、『重たいものをいかに軽く、楽に運ぶか』です。かつては屈強な男性しかいなかった現場で、女性やシニア世代、さらには外国人や障害者の方も活躍できる時代に向けて、さらに研究開発を進めていきたいと考えています」と奥田社長は語っています。


▲得意の物流機器で培った技術力を活かしたトレーニング用足踏み車いす「Joyfum」(左)をきっかけに、同社への新たな挑戦が始まっている。

長期的視点で市場を見据え、社員とともに事業の成長を目指す

 今後の事業展開について、奥田社長は大きく2点「医療・福祉分野への進出」と「グローバリゼーション」を掲げました。福祉関連でいえばすでに、関西大学と共同開発したトレーニング用車いす「Joyfum」を発売しており、現在は、「介護の現場で人を軽く楽に運ぶ、動かす」介助用機器の開発を進めているほか、医療現場でも重い機器の運搬で貢献できると考えています。
 海外展開については、同社ではいち早く1994年にマレーシア、2006年に中国に生産拠点を設け、現在はそこを拠点にASEAN諸国やヨーロッパへの販路も開拓しています。すでに、中国自動車メーカーから委託されたアフターサービス網に配備するバッテリー交換設備の開発という大型プロジェクトも進んでいるとか。若き頃に、この両国への進出に関わった奥田社長は「将来は日本を含む3カ国間で連携した『グローバルシェアの拡大』を行いたい」と構想しています。
 5年後、10年後にどうありたいか。中期経営計画で長期的ビジョンを描くをくだ屋技研ですが、これからも守るべきは、脈々と継承してきた本流から離れないことだと奥田社長。社員の人生の充実につながる会社の成長を目指しています。


▲以前に実施した「従業員満足度調査」に基づき、さらに従業員の「QOL(人生の質)」の向上を目指して、労務規定や人事考課制度を見直したという。

株式会社をくだ屋技研

代表者名代表取締役社長 奥田 智
本社堺市美原区丹上263
TEL072-362-2111(代)
設立1934年創業 1954年設立
資本金9,650万円
従業員数117名
事業内容荷役運搬機器および環境機器の製造販売
ホームページ http://www.opk.co.jp/

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