インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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守り続けた伝統の最中種に新たな可能性を 有限会社泉忠老舗

銘店の和菓子を日本伝統の最中種で支えて

 茶道千家の祖として知られる千利休の故郷・堺には、古い歴史を持つ和菓子店が多く存在します。そして、こうした和菓子店に最中の種(皮)を専門に提供する有限会社泉忠老舗もまた、約230年の歴史を誇る老舗。堺郷土菓子開発友の会で販売している「堺燈台もなか」をはじめ、堺の多くの和菓子店の最中に、同社の最中種が使われています。
 7代目となる浅井淳社長は「最中の種を専門に作り始めたのは、3代目浅井忠平の代からで、その時に自身の名前を入れた『泉忠』を屋号としたようです。近年は、当社のような最中の種ばかりを製造している事業者は減少する一方で、今や堺で唯一の最中種屋となりました。そうしたなか、昔ながらの最中種づくりを守り続けていることが、当社の強みとなっています」と語っています。
 例えば、アイス最中など市販されている最中製品の多くは、原材料に小麦粉を使っていたり、割れにくくするためにコンスターチを配合していたりすることがほとんどですが、泉忠老舗が営々とこだわり続けてきたのは、伝統的な和菓子の、もち米だけで作られる最中の種です。添加物などは一切使用されていません。100年以上、その原材料も製法も変えることなく継承されてきました。


▲堺の和菓子店が共同で開発した「堺燈台もなか」や、「ちんちん電車もなか」など、堺市ゆかりの最中菓子の種も多く作っている。

全ての工程を手作業で一つひとつに丁寧な目配り

 かつて何人もの職人を抱えていた時代には、朝は4時半頃から工場を稼働させていたという泉忠老舗。まず、もち米を洗い、浸水した後に蒸して、餅をつく。そこからの作業でした。ついた餅は薄く板状にのばし、小さな短冊状に切り分け、型に挟んで焼くというその工程は今も変わりませんが、現在はもち米を粉にしたものを用いているほか、餅つき機と焼成機が導入されて省力化が図られています。
 それでも、焼成機にネタを一つずつ投入し、焼きあがった最中の種を箱詰めするまでの全ての工程は、今も手作業です。そのために1日の生産量は限られますが、最中種の一つひとつに目配りができると浅井社長。それぞれの得意先の要望にも細かく対応しています。「例えば、お得意先によって中に詰める餡は、量も固さも異なります。固めの餡を炊かれるお店には、割れにくいように少し湿らせた状態で納めています。さらに季節や天候によっても、最中種の状態が変化するので、湿らせ具合のほか、生地の厚みや焼き色の加減を微妙に変えています」。
 最中の割れ防止のために、昔から運搬用に使われてきたのが木製の茶箱。隙間のないようにぎっしり詰めて納入するそうです。今となっては貴重な茶箱を、いかに大切に使っているかは、何度も補修された跡からもうかがい知ることができました。


▲もち粉をついてのばしたものを丁寧に折りたたみ、短冊型に切り分けていく作業も、昔から変わらず全て手作業で行っている。

"食べられる器"として新たな用途や販売先に可能性を

 短大の自動車工業科を卒業後は、中学時代から憧れていた自動車業界に勤めていたという浅井社長。父の代わりに配達を手伝った時などに、「ゆくゆくは家業を継ぐことになるのかも」と漠然と思ったそうです。小さい頃から父の仕事ぶりを見、この仕事で兄弟2人を育ててもらったという感謝の気持ちもあったと話す浅井社長が、最中種作りの道に入ったのは23年前。200℃ほどに熱せられている焼成機から最中を外す作業で、修行時代は親指と人差し指のやけどが絶えなかったといいます。
 「近年は後継者不在などで廃業される和菓子店も少なくなく、最中の型を作る会社も全国で2社となりました。今後は、当社も和菓子店への卸売りだけでは経営が難しくなっていくことが予想されます。そこで現在、準備を進めているのが一般ユーザー向けへのネット販売です。菓子材料としてだけでなく、最中種を"食べられる器"として求める方がいるのならば、そうした新しい用途や販売先の可能性を広げていきたいと考えています」。
 とはいっても、基本は日本伝統の和菓子文化を後世に継承する一翼を担い続けたいと力強く語る浅井社長。原材料がもち米だけで、打ち粉にももち粉を使っている泉忠老舗の最中種を使った和菓子は、中の餡に水飴や麦芽糖を使っていない限り、"グルテンフリー食品(※)"であり、小麦アレルギーを持つ人だけでなく、健康意識の高い人たちにもアピールできるのではと考えています。

※グルテンフリー食品・・・小麦などに含まれるグルテンを含まない食品。一般に「小麦粉不使用」の食品を指す。


▲帆立貝などの定番のデザインの型は自前で持っているが、和菓子店それぞれの意匠の最中は、型を預かって焼いている。

有限会社泉忠老舗

代表者名代表取締役 浅井 淳
本社堺市堺区寺地町東3-2-23
TEL072-232-3160
設立1790年頃創業
資本金300万円
従業員数2名
事業内容最中の種の製造

貸会場のご案内 TEL 072-255-0111 FAX 072-255-3570 ご案内ページはこのボタンをクリック

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