インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~
アルミ鍋の製造からスピニング加工1本に絞って
1958年の創業から約50年間、株式会社国誉アルミ製作所が主事業としていたのは、アルミ鍋の製造でした。しかし、韓国製やインドネシア製に押され始め、このままでは立ち行かなくなると危機感を覚えた先代が、アルミ鍋の製造過程で行うスピニング加工の技術を活かして新たな仕事を開拓できないかと考え、そのための営業責任者として境田哲現社長を迎えたといいます。
「プレス業を営んでいた私は、金型を作るための高額なコストのかからないスピニング加工に可能性を感じていました。そして入社3年後には、鍋の製造から完全に撤退し、スピニング加工1本でやっていける企業にしたのです」。
実際はその頃、すでに「へら屋」と呼ばれるスピニング加工業者はたくさんあったそうです。後発の、しかもまだ技術が確立していない同社では、営業活動と同時に、同業者の協力を得ながら社内の技術を磨き、さらには、年商の約半分に近い高額な半自動スピニング加工機を導入。費用と時間の低減を図りました。それまで気難しい職人が多い世界で、コストも納期も顧客の思うままにならなかったスピニング加工業に風穴をあけたのです。
▲いち早く自動化に取り組むために導入した「スピニング加工機」
最新の3次元レーザー加工機で「複合加工」を強化
金型レスで、仕様の変更もデータひとつで済むとなれば、スピニング加工の需要は高まるばかりでした。やがて、顧客のニーズに応じて、プレスやスピニング加工の後のレーザー加工や板金、溶接加工などまでを自社で一括して行うことに。そこで設備投資したのが、3次元レーザー加工機でした。設備がフル稼働するほどに注文が殺到し、2年で減価償却したそうです。
常に、いの一番に最新の設備を導入するのも境田社長の経営戦略です。「まだどこにも入っていない機械があると、大手メーカーの方も当社工場へ視察に来られる。良いPRになります」と境田社長。やがて営業に回らなくても、東京で開催される機械要素技術展に出展するだけで、全国から名刺を持って来られるまでに知られる企業となりました。
▲他社に先駆けて導入した「3次元レーザー加工機」。
若手技術者育成のポイントは「失敗しても、挑戦しろ」
「どれほど難易度の高い注文が来ても、社長は『どこまでできるか、まずは挑戦してみろ』と言います。『失敗しても、ここまではできる技術を持っていることがわかったからいいんだ。できないで終われば、それまでだから』ということです。だから若手の技術者たちも安心してチャレンジできますし、それが仕事の面白さにつながっているんですね」と語るのは、松原工場の島田暁令工場長です。
業務用掃除機の本体幅の中に車輪が納まるよう、本体を作ってくれというオーダーも大変困難を極めたそうですが、プレスとスピニングの複合加工により実現させたとか。この両方の加工技術を持っている企業は滅多になく、同社の大きな強みとなっています。そして、それを活かして、境田社長自身のチャレンジでもあったエネルギー事業への参入も果たしました。原子力発電施設の大手メーカーから製造特許技術を移管された認定工場として、タービン関連部品の製造を行っています。年商5千万円を7年間で5億円の10倍にしたということで、ビジネス番組に取り上げられたこともある同社の挑戦はまだまだ続きます。
▲スピニングや三次元レーザー、プレス加工、溶接などの複合加工で製造された製品。
株式会社国誉アルミ製作所
代表者名 | 代表取締役 境田 哲 |
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本社 | 堺市美原区北余部267-6 |
TEL | 072-369-2594(代) |
設立 | 1958年創業 2010年設立 |
資本金 | 2,000万円 |
従業員数 | 30名 |
事業内容 | 金属製品の加工・販売 |
ホームページ | http://www.kokuyo-al.com/ |