インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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より高機能な空調作業着を求めやすい価格にしてシェア30%に 株式会社チロル

既存製品の特許権に抵触しない縫製方法を独自に考案

 毎年、夏になると報道される熱中症による事故。時には死に至ることもあるため、高温多湿の厳しい環境で作業を行うさまざまな現場では、例年その対策に余念がありません。そのなかで年々売れゆきを伸ばしているのが、いわゆる空調服と呼ばれるファン付き作業着です。
 株式会社チロルは、新規事業を支援するさかい新事業創造センター(S-Cube)で、2015年に創業してからわずか5年で、その空調服のシェア30%を獲得したファブレス企業です。まずは、創業のきっかけから穐吉俊行社長にうかがいました。
 「空調服については、つい7.8年前まで全く、その存在も知りませんでした。30年以上勤務していた大手家電メーカーの退職後に、転職した会社で取り扱っていることから初めて知った製品です。その頃、空調服は1社が独占で製造・販売しており、1着3万円ほどの高値がついていました。毎日、現場で汚す作業着にその価格は高すぎると思い、購入しやすい価格帯のものを開発しようと考えたのが起業のきっかけです」。
 家電メーカーでは長くエアコン関連部門を担当していたこともあり、ファンまわりの機構の開発について大きな苦労はなかったものの、問題は作業服に穴をあけたところの縫製方法でした。先行していた企業がその部分で特許を取得していたため、他社の特許に抵触しない縫製方法を考えて自社の特許を取得しています。


▲工場を持たないファブレスメーカーゆえに、製造を担う企業とは綿密に打ち合わせを行う。

外して洗えるファンや、長時間使用できるバッテリーを開発

 既存メーカーの特許を侵害しない独自の製造法を編み出し、同社が企画・設計したものを海外生産することでコストを低減。機能を維持し既存製品の約半額という低価格を実現しました。
 「4年前の参入当初はファンと作業着の両方の製造に携わり、それを持って営業に回りましたが、アパレルには全く知識やノウハウがなかったため、当時最新のデザイン性の高いワークウエアのトレンドを知らず、『これでは売れない』と指摘されたこともありました。また、衣類はサイズ管理が大変なことから、まもなく機械の製造のみを行い、作業着は作業着メーカーに任せる方針に転換しました」。
 現在のところ、企業規模を大きくするつもりはないと穐吉社長。そのため、自社ブランドを立ち上げず、全国の大手企業のOEM製品やプライベート商品を請け負うビジネススタイルを採っています。
 同社では、年々、機能の向上を図っており、例えば、屋外で使用される作業着は埃が付着しやすいことから、ファンを外して洗えるようにした製品を開発し、現在、特許出願の公開中です。
 また、空調作業着は空気漏れのしない生地を使用しているため、ファンが停止すると、逆に作業着内の温度が急上昇します。そこで、モーターを省エネタイプに改良したほか、蓄電容量を大きくした独自の内蔵バッテリーで、基本モードでの使用であれば、休憩時間を含め9時間の運転を可能にしました。そのうえで、最軽量を実現しています。


▲屋外での作業ではファンに埃がたまりやすいという課題は、外して洗えるように改良して解決。

熱中症対策をテーマに市場が求める新たな製品づくりへ

 最近では、空調服に搭載しているリチウムイオン電池を冬の防寒着に利用できるよう充電式ヒートウエアも開発。夏しか使用しないために充電を忘れて保管した時の、完全放電によるトラブルの防止にもなります。
 こうしてさまざまな工夫を重ねて高機能を追求するうえで、同社が取得した特許権や実用新案権、意匠権は10件にも上りますが、同社の製品を採用する得意先企業に対しては、一切のパテント料を請求していません。毎年、同社製品を導入する企業が増え、同社の売上げは一気に拡大しており、5年で約50倍という驚くべき急成長を遂げました。さらには、海外の大手自動車メーカーの整備工場や、有名スポーツ用品メーカーでの採用もすでに決まっています。
 「当社では効率を考えて、工場を持たないファブレスという選択をしています。市場の動きを見ながら、世の中に求められている製品という形に変えていくのが当社の仕事だと思っています。かつて勤めていた家電メーカーでは、製品の特長は3つのポイントまでで語れと言われました。当社の製品の優位点についても、簡潔にわかりやすく伝えたいと考えています」。
 夏の熱中症対策というテーマでは、まだまだ展開の余地があり、今後はぺルチェ素子の電子冷却に注目していきたいと語る穐吉社長。来年の東京オリンピック、そして2025年の大阪万博までも視野に入れて、炎天下でのスポーツ観戦やベビーカーに乗る乳幼児向けなど一般ユーザーにも利用が広がる、より安全で使いやすい製品づくりを進めていきたいと話しています。


▲穐吉社長を含めて3人の企業だが、販路は海外へも拡大中。
成功のポイント

穐吉社長が過去に勤務していた電機メーカーにて培った優れた技術力と、その技術力を業界で広く共有して、人々の健康と快適な生活を現出して行こうと云う熱い思いが車の両輪として機能し、前進している企業です。


株式会社チロル

代表者名代表取締役 穐吉(あきよし) 俊行
本社堺市北区長曽根町3-602
TEL072-251-0130
設立2015年設立
資本金300万円
従業員数2名
事業内容ファン付き空調作業服ほか、熱中症対象商品の開発・販売、充電式ヒートウエアの開発・製造

貸会場のご案内 TEL 072-255-0111 FAX 072-255-3570 ご案内ページはこのボタンをクリック

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