インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~
より高度で専門性の高い、フタバ独自のものづくりへシフト
1968年に紙製コースターや紙ナプキンの販売会社として創業した株式会社フタバ。1973年から紙製コースターの製造を開始して約50年、ホテルや旅館、飲食店向けの紙製品の製造販売ひと筋に事業を展開してきました。
現在の三上一登社長の代になってからは、「これはフタバの仕事だとすぐにわかる専門性の高いものづくりをしたい」と、より意匠性の高い紙製コースターや紙ナプキンに特化。緻密なロゴや文字の入ったデザインなど、昨今の個性やオリジナリティを重視する顧客の要望に応え、箔押しなどの凹凸の表現や繊細な調色技術を活かしたオーダーメイドで強みを発揮しています。
▲「ものづくりは、良い機械があるだけではできない。技術者が何度も試行錯誤を重ね、挑戦してきた結果の一つとして製品が誕生する」三上社長談。
古いドイツ製凸版印刷機から生まれる独特の風合いを生かして
同社が最も得意とする凸版印刷については、50年以上昔に製造されたドイツ製の凸版印刷機を9台備えて、立体感のある空押しや浮き出しといった加工や、金箔等を熱転写で貼り付ける箔押しなど、独特の風合いを表現したコースターで豊富な実績を誇っています。
最近は、デジタル製版機を活用していますが、ゴム印と同じ原理で、凸版印刷は圧力を掛けすぎると細かい文字や模様が潰れてしまうため、より正確に美しくデザインを再現するために、どの程度の力を掛けるべきか、技術者たちの経験が生かされています。
また、業界全体で衰退している調色技術を、同社では技術者全員が習得。三上社長は「独特のテクスチャーを持つ紙を使用しているせいか、印刷した色がその当日と翌日で異なるんです。翌日に出てくる色を想定して調色するのは、やはり長年の経験がものを言いますね。当社では、翌日にチェックを受けてからしか出荷させない、自社独自の承認制度を設けています」と語っています。
こうした調色技術の高さに信頼を得て、「うちではできないから」と同業他社からの注文を受けることも。その出来映えが高く評価されて、リピート発注につながることも少なくありません。
▲機械メーカーに同じものはもう作れないと言われたドイツ製凸版印刷機。
自動化を模索する一方でアナログな経験や感性を重視して
紙を貼り合わせて作る5mm厚のコースターも、どこにでもできる製品ではなく、同社では合紙専門会社の協力を得て、高品質な製品のスピード納品を実現しています。
同社でも生産能力を高めるために自動化を推進したいと考えていますが、数値化できない経験の積み重ねが同社の高付加価値なものづくりには重要であり、人財の確保や教育に注力していると三上社長。かつての「先輩の背中を見て学べ」ではなく、理論もしっかり学び、さらには技術の伝承もマニュアル化するようにしたそうです。それが技術者の定着につながっているのか、平均年齢38歳と若手の活躍が目立ち、50年の歴史を超えて、ますますの発展が期待される企業です。
▲凸版印刷ならではの風合いと、多彩な加工技術で評価の高い同社のコースター製品。
活用した支援事業
■マッチングコーディネート事業
50年以上前のドイツ製印刷機を改良できる機械メーカーを紹介され、今の技術者が使いやすいようにチューニングしました。
■IPCスマートものづくり
導入支援センター事業現場で何が自動化できるかを検討。まず技術者に用紙切れなどを知らせるアラーム装置を導入しました。
■堺市女性雇用促進等 職場環境整備支援事業補助金
従業員の半数を占める女性が働きやすい職場づくりとして、トイレのリニューアルを行いました。
株式会社フタバ
代表者名 | 代表取締役 三上 一登 |
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本社 | 堺市西区浜寺石津町東4-8-19 |
TEL | 072-245-1160 |
設立 | 1968年創業 |
資本金 | 1,000万円 |
従業員数 | 12名 |
事業内容 | ペーパーコースター・紙ナプキンの製造販売、紙製品の製造販売、凸版印刷を利用したオーダー製品の製造販売、各製品のOEM提供 |
ホームページ | https://futaba-corporate.jp/ |