インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~
機械なら製作から修理・改造まで守備範囲の広さが強み
1963年に旋盤1台で金属加工業を創業してから約60年。株式会社堺精機工業所は、旋盤や工作機械の修理・改造から専用加工機や加工用治工具類、各種検査機の製作など、長年にわたり技術力とノウハウを培い、今では一般産業機械の設計から製作、電気制御までを一貫して担っています。「どのような相談事も断らず挑戦してきた結果、守備範囲が広がってきた」と中西誠吏社長。とりわけ同社の強みといえるのは、熟練の職人によるオーバーホールなどの修理や改造で、「機械の駆け込み寺」として信頼を得ています。
中西社長は「景気の良い時は新設機械の発注があり、景気の悪い時には修理や改造の注文が増えるので、景気にあまり左右されないのも当社の強みといえます」と語っています。とはいっても、受注を待つばかりでは経営が安定しないと、自社が持つ技術を活かして自社製品を開発する構想を抱いていたところ、このコロナ禍に、換気状態を表示する「CO2センシングポール®」(実用新案取得済)の開発に携わることになりました。
▲「これからは完成図のわかっているジグソーパズル型ではなく、自由な発想で創るレゴ型の教育が必要だと考えています。当社もレゴ型人間の集団として活躍できれば」と語る中西社長。
換気状態の見える化システムをコロナ禍に共同開発
「センサでCO2濃度を測定する研究をされていた大学の先生が、換気状態の見える化システムを開発しようと小回りの利く機械メーカーを捜されていることを当社と取引のある販売会社から紹介されました。それが昨年7月のことです」。それからわずか3ヶ月後に試作品を完成させ、実証実験で効果の検証を経て、換気状態の悪くなる冬季に間に合わせるよう12月に発売開始しています。
コストを抑えるため、センサなどの部材の選定から部品の設計・製作にいたるまでを自社内で進めましたが、苦労したのはマイコン技術だったとか。「当社の電気担当が回路設計と基盤製作を担い、以前に勤めていた会社でソフトウエアの開発を経験している私がプログラムを担当しました」。最終的にデザイン性や安全性なども考慮して完成された製品は多くのメディアに取り上げられ、銀行やオフィス、病院、飲食店などに納入されています。
▲金属加工や組立はもちろん、設計、電気制御と多彩な技術とノウハウを有する職人たちが強み。
自社製品の開発で安定したものづくり企業へ
「CO2センシングポール®」の開発に携わったことで、自社が持っていた潜在的な技術の掘り起こしができたほか、一般消費者に販売するために必要な仕様書作りなどのノウハウも獲得でき、自社製品を開発、販売するまでの流れを学ぶことができたと中西社長。今後は安定したものづくり企業を目指して、これまで縁のなかった医療・福祉業界や食品業界などへの進出も視野に、自社製品の開発に取り組んでいきたいと語っています。
▲「CO2センシングポール®」は、積層点灯型とフルカラー型の2種。近々、新デザイン(写真右)も発売予定。
活用した事業メニュー
■ビジネスマッチング事業
堺市産業振興センターからさまざまな企業が紹介され、大きなお得意先になっている企業もあります。
■医工連携促進事業
将来的に関心のある医療業界の情報入手やネットワークづくりに役立っています。
■各種人材育成セミナー
講習会に社員を派遣したほか、近畿職業能力開発大学校へ後継者を進学させることにもつながりました。
株式会社堺精機工業所
代表者名 | 代表取締役社長 中西 誠吏 |
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本社 | 堺市美原区平尾2648-1 |
TEL | 072-361-6493 |
設立 | 1958年創業 1968年設立 |
資本金 | 1,000万円 |
従業員数 | 3名 |
事業内容 | 各種一般産業機械、治工具類の設計製作・改造・修理(オーバーホール) |
ホームページ | http://sakai-seiki.co.jp/ |