インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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全社で取り組むSDGsは次代に生き残る指針に 株式会社 堀田ハガネ

含ニッケル鋼の在庫量は業界トップクラス

 特殊鋼のなかでも、さらに特殊な含ニッケル鋼などを販売・加工している株式会社堀田ハガネ。その在庫・売上は業界トップクラスを誇っています。とりわけニッチな鋼材であるニッケルクロム鋼(SNC鋼)やニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM鋼)を豊富に扱っているということで、問合せは全国から寄せられるとか。堀田靖社長は「他社があまり取り扱わないというのは、それだけ需要が少ないということですが、逆にどこでも取り扱っている一般的な鋼材は価格競争に陥りやすい。耐久性や耐摩耗性に優れているために、高い品質、高い性能を求められる部位に使用されるグレードの高いSNC鋼、SNCM鋼などは、回転率は悪いけれども利益率が高いのです」と語っています。
 そして最近、力を入れているのが工作機械や産業機械の部品作りです。3年前に、廃業した会社を設備や技術者ごとそっくり承継。さらに製造設備を増強し、協力会社も得て、同社の大きな事業の柱として育てようと考えています。「材料の販売だけでは、大手企業との取引は難しくなっており、材料を加工して製品にすることで取引の拡大を図りたいと思っています。将来の大きな戦力として新たに人材も採用、育成しているところです。中期的には、当社の売上の30%を占めるまでにしたいですね」。


▲他社があまり取り扱わない回転率の悪い特殊鋼を豊富に取り揃えていることを強みとしている。

地域の清掃やプルタブ集めなど全社員の参加でできることから

 同社では早くからSDGsに関心を持ち、3年前にはプロジェクトを立ち上げていました。堺市の「さかいSDGs推進プラットフォーム」には設立前から声をかけられ、設立と同時に参加しています。堀田社長は「当社が目指す"人を大切にする"人本経営とSDGsには共通することがたくさんあると思ったことから興味を持ちました。例えば、7~8年前から5つあるグループのうちの2つで、女性の管理職を登用していますが、それもSDGsの目標の一つにあることです」と語っています。
 「リーダーとして人を巻き込んだり、まとめたりするのが上手いから」と堀田社長がSDGsを推進するプロジェクトリーダーに任命したのは、業務部の中谷建太氏です。「メンバーには、営業や製造現場、総務など各部署から1名ずつを選出。まずはSDGsについてのセミナーを受け、大手企業さんがどのような取り組みをされているのかなどを勉強しました。その中で当社ができるところからやっていこうとスタートしたのです」(中谷氏)。
 いざ始めてみると、「あんなこともできる、こんなこともできる」と活動はどんどん広がり、現在は、もともと堀田社長が10年ぐらい前から関わっていた北海道のクッチャロ湖の保全活動に全社で取り組むことになったほか、全社員で月2回、石津川駅と会社周辺の清掃活動の実施や、車椅子を寄贈するためのプルタブの収集、加えてネーム入りタンブラーを使用することで、ペットボトルの利用の削減にも努めているそうです。日々の業務に関わるところでは、可能な限り環境に優しい素材の部品を調達したり、COの削減を意識した処理方法を選択したりといった取り組みを行っているとか。「社長や取締役といった経営陣から率先して活動に参加してもらっているので、社員にとって"やらされている感"がないんです。もちろん、日頃からSDGsを意識するような仕掛けもしています」と中谷氏。厚生棟の階段の一段一段に自分たちの取り組みを掲示しているほか、工場内の各所にもSDGsの17のゴールが掲げられていました。
※SDGs(Sustainable Development Goals)・・・2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標。17のゴールと169のターゲットから構成される。


▲「堺市まち美化促進プログラム」に参画している団体であることを示すアダプトサインが、石津川駅と本社近くに設置されている。

脱炭素社会の実現に向けて危機感をビジネスチャンスに

 中小企業がSDGsに取り組む意義について、堀田社長は「当社がいち早くSDGsに取り組んでいることは、得意先にも大きなアピールになっています。ヨーロッパではすでに、SDGsに取り組んでいない企業との取引は行わないという動きがあり、今は大企業が対象でしょうが、やがて中小企業にも波及してくるでしょう。もはや我々にもSDGsは無視できないものなのです。SDGsと聞けば構えてしまいそうですが、17の目標と169のターゲットを一つひとつ見ると、当社の照明のLED化のようにすでにやっていたことや、すぐにでも取り組めることがたくさんあります。そのどれか1つからでも始めれば、自然と次のステップに進んでいけると思いますね。ただ、前文に書かれているSDGsの基本理念をきちんと理解して取り組むことは大事だと思います」と語っています。
 また、SDGsをとりまくグローバルな動きの中で本業においてもビジネスチャンスを作っていきたいと語る堀田社長。「当社は石油化学プラント関連の製品が多いですが、化石エネルギーが水素燃料や太陽光などに取って替わっていくことに大きな危機感を抱いています。ガソリン車の部品製造も脱炭素社会の実現を目指すとされた2050年にはゼロになっているでしょう。次代に生き残っていくためには、当社もお得意先企業とともに新エネルギーの分野へ進出していきたいと考えています。まずは太陽光発電システムを当社でも導入する予定です」。


▲最新鋭の機械を導入し、機械加工事業も大きく成長させる計画。
成功のポイント

ニッケルクロム鋼・ニッケルクロムモリブデン鋼というニッチ分野に特化し、他社と差別化した手堅い経営を行う傍ら、他社に先駆けて取り組んだSDGsでは、次世代への切り口と捉え、できるところから一歩ずつ取組を始め、今では社長以下全社員で楽しみながら実践しています。


株式会社 堀田ハガネ

代表者名代表取締役社長 堀田 靖
本社堺市西区築港新町3-19-2
TEL072-244-0011
設立1956年創業 1959年設立
資本金4,000万円
従業員数41名
事業内容特殊鋼・ステンレス綱全般の販売および加工
ホームページ http://hotta-hagane.co.jp/

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