インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~
高精度・高品質の求められる重要な部品作りを担い続けて
今日ほどプラスチック製品が一般的でなかった1939年の創業時より、これからは樹脂の時代だと、電気機器の絶縁部や航空機・自動車関連のプラスチック成形品の製造を担ってきた大和合成株式会社。「先代の時に世界初のオートフォーカス一眼レフカメラの開発に関わったことで、金型や材料についての知見も深め、さらに技術力を向上させることができた」と奥野健太郎社長は語っています。プラスチック素材の熱可塑性と熱硬化性という2つの特性を知り尽くした成形メーカーとしての強みを活かし、現在はシビアに品質や精度、安全性の求められる自動車や二輪車の重要保安部品や、電気電子部品、光学機器部品、医薬品・化粧品容器などを製造・販売しています。
▲ハノイ工場の従業員の皆さんと(2列目右から3人目が奥野社長)。
バイオマスプラスチックの実用化や車載用プーリーの樹脂化を実現
プラスチック成形メーカーとして同社の強みは材料の選定から形状の提案、そして試作、量産、組立までを一貫して対応できる総合力です。なかでも開発・提案力に優れ、これまでも従来は金属製だった車載用プーリーの樹脂化を実現。大幅な軽量化や低騒音化に貢献しています。
「昔から熱硬化性樹脂を扱うなかで材料メーカーとの信頼関係があり、新しい材料の情報をいち早く入手できるのも当社の強みです。今日、ストローやレジ袋などプラスチック製品への風当たりが強くなっていますが、一方、このたびのコロナ禍で不織布マスクや医療用品、ワクチン接種のための注射器も全て樹脂製です。まだまだ欠かせない素材であり、それをうまく利用していくことが我々人間の責任だと思いますし、日本のものづくりならそれが可能だと思いますね」と奥野社長。将来的には、リサイクル技術や生分解性プラスチックの進歩が考えられるといいます。
同社では、竹繊維や竹粉を汎用性樹脂に混ぜて成形する技術を10年以上前に実用化させ、すでに製図用三角スケールなどで量産の実績もあります。「精度や耐久性、安全性の求められるところでの利用は難しいですが、お客様の選択肢の一つとしてご提案しています」。
▲自動車のテンションプーリーやIT社会で不可欠な電気・電子部品など、精度の求められる製品作りを得意とする。
金属3Dプリンターによる金型の新たな可能性に期待
創立100周年にあたる2039年に向け「プラスチックのことならまず大和合成と言ってもらえる"ファーストコールカンパニー"を目指す」と「2039ビジョン」を掲げる奥野社長。宮崎工場とベトナムにある2工場のマザー機能を果たすべく、堺の本社工場を研究開発拠点と位置付け、これからもプラスチック素材の新たな可能性を追求していく考えです。
例えば、近く国の補助金を活用し、金属3Dプリンターを使っての金型部品製作の研究開発に着手する予定で、この研究を進めることでこれまで難しかった金型冷却構造を量産金型へ実用化し、より高精度、高品質で歩留まりの良い製品作りを提案できると奥野社長の期待は高まっています。
▲金型内で起こりうるさまざまな現象を3Dで確認することができる「流動解析ソフト」を使い、高品質な製品作りを実現。
活用した事業メニュー
■ビジネスマッチング事業
プラスチック素材について具体的な課題を持つ企業を紹介されるので、新たなビジネスに結びついている例が少なくありません。
■各種セミナー
DXをはじめ、健康医療、産業技術といったテーマのセミナーに参加しています。
■各種制度の情報提供
適宜、提供される補助金制度などの有益な情報を活用しています。
大和合成株式会社
代表者名 | 代表取締役社長 奥野 健太郎 |
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本社 | 堺市北区東三国ヶ丘5-1-10 |
TEL | 072-252-1023 |
設立 | 1939年創業 1943年設立 |
資本金 | 2,400万円 |
従業員数 | 30名 |
事業内容 | 各種合成樹脂成形品の製造・販売 |
ホームページ | http://www.daiwa-pls.co.jp/ |