インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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高い金属加工技術を活かし医療分野へ挑戦 株式会社太田鉄工所

100種類を超える素材への対応と単品加工で独自性を発揮

 1969年創業の株式会社太田鉄工所。マシニングセンターやNC旋盤に始まり、今では五軸マシニングセンターやNC複合機、CAD・CAMなども備えて、あらゆる金属加工に対応できることを強みとしています。
 「かつては大手産業機械メーカーの二次下請けとして大量生産を担っていたこともありますが、製造拠点の海外流出が進んで仕事が激減したのをきっかけに、親会社の事情で経営環境が左右される事業のあり方を見直しました。現在は、持ち込まれた案件で当社の機械でできることなら断らず、ステンレスをはじめとする鉄鋼系材料はもちろん、チタン、アルミなどの非鉄鋼系金属や各種樹脂など、難削材も含めて100種類を超える材料に対応しています」と太田勝久社長は話しています。
 しかも、最近は少ロット生産を謳うものづくり企業が増えてきていますが、太田鉄工所のように究極の少ロットである単品から請け負っている企業は珍しく、同社の製品の85%が単品加工だといいます。
 たとえ図面がなくても、また、どれほど複雑な形状のものでも、画像測定機で形状をプログラム化し、CAD・CAM設計システムで全く同じものを再現することができるとか。
 さらに同社では金属加工だけでなく、太田社長が築いたネットワークにより、ワイヤー加工や研磨、熱処理、表面処理などの加工も含めて一気通貫で請け負い、完成品で納めることができる総合力も自負しています。


▲コンピュータによる夜間の自動運転で、機械の稼働率を上げながら、生産性の向上を図っている。

10年先を見越した事業の再構築で経営の安定を図る

 その太田鉄工所では、このたび中小企業庁の「中小企業等事業再構築促進事業」の支援を受けて、新たに複合機を導入し、医療分野へ挑戦することを決めました。その思いを太田社長に伺いました。
 「自動車だってガソリン車から電気自動車へのシフトが進み、これまで自動車産業に関わってきた多くのものづくり企業が廃業か他産業への転換へと追い込まれています。今の時代、5年後のことなんてわからないのです。当社も、今は順調でも先のことは読めません。だから、今のうちに別の事業を立ち上げておく必要があると考えました。もしかすると、10年先には新しい事業のほうが成長して会社を支えてくれるかもしれません」。
 そこには、長年培ってきた技術力への自信も垣間見えます。十数年前に五軸マシニングセンターを導入した時には"宝の持ち腐れ"になるかのように言われたことも。実際、最初は稼働時間も少なかったということですが、現在はこれらを使いこなせる技術力も備わって、またこれだけの設備を持っているならと難しい案件も持ち込まれることも増えたといいます。「周辺の設備も整い、いよいよ事業の再構築をしていこうということになった」と太田社長は語っています。
 では、なぜ医療分野だったのかについては「ものづくり企業にとって、航空機と医療分野は、とても難しいけれど魅力的な領域です。そこで、航空機の開発メーカーの協力会社にも話を聞きに行ったのですが、航空機に関わるには多額の先行投資が必要で、しかも回収には長い期間がかかるとのこと。大きな資金力がないと無理だなと判断しました」。


▲複雑な形状の加工を得意とする太田鉄工所。超硬素材も多く手がけている。

人工骨の製作を目標として目指すは医療分野への参入

 そして今、同社が着目しているのは人工骨です。
「人工骨は海外からの輸入品が多いと聞きますが、患者は日本国内で手術するわけですし、日本人の骨格に合わせるための細かいオーダーも国産なら対応できます。材料もチタンやステンレスが使われていますが、将来的には新しい材料が開発されるかもしれません。医療の進展とともに医師や患者のニーズも変化するなかで、柔軟に対応できることが重要であり、小回りのきく当社なら医師たちの細かい要望にも応えることができるでしょう」。
 日頃、単品加工を主に手がけている同社には、試作のために他社ではまだ扱っていない難削材などの新しい素材が持ち込まれることも少なくなく、そうしたことも人工骨に携わるうえでの優位点だと考えているようです。
 設備が整うのは2022年の夏以降。それまでの準備として、現在は情報収集とアプローチ先のリストアップやリサーチを進めているところだとか。かつて医療機器メーカーで営業に携わっていた太田侑吾営業主任は心強い戦力です。
 「以前に薬剤メーカーの製造機器に携わったことがあるものの、医療分野に実績のない当社が、人の命にも関わる人工骨の領域に参入するのは非常にハードルが高いことも承知しています。そこでまずは医療機器の製造など、周辺の領域から手がけることができればと考えています」。
 アフターコロナを見据えて、最近、人員も増強し、得意先の裾野を広げるべく名古屋方面への営業の強化も進めていると太田社長。その視線は遠く5年後、10年後を見つめています。


▲五軸マシニングセンターの導入から十数年を経て、社内での技術の継承も確実に進められている。
成功のポイント

積極的な設備更新や新しい素材への加工に挑戦しノウハウを蓄積してきた(株)太田鉄工所。新たに、人工骨の製作を目標に医療機器分野へ進出、医療従事者の細かなニーズへの対応に挑戦しています。
常に、新しいことに挑戦している太田社長の経営姿勢が成長の原動力となっています。


株式会社太田鉄工所

代表者名代表取締役 太田 勝久
本社堺市中区楢葉162-4
TEL072-230-5591
設立1969年創業 2020年設立
資本金100万円
従業員数18名
事業内容金属切削加工
ホームページ https://www.ota-smile.com/

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