インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~
農業機械や建設機械などの塗装からパーツのアッセンブリーまで
1954年の創業以来、大手産業機械メーカーの協力会社として農業機械部品や建設機械部品などの塗装を多く手がけてきた株式会社三翠社。昨今、産業機械の塗装にも仕上がりの美しさが求められるなか、同社では、長年培ってきた高度な技術力と豊富なノウハウに加え、カチオン電着塗装や静電設備などの最新設備や、ラインの全自動化の導入などで時代の要請に応えています。
また現在では、トラクターのロータリーや建設機械のキャビンといったパーツのアッセンブリーも担っており、嘉祥寺豊社長は「部品メーカーとしての地位を確立させたい」と語っています。
▲「社長就任時に売上100億円を目指すと掲げた目標は今期に達成できそう」と嘉祥寺社長。今後は、数年先を目標に持株会社化など一体的な組織づくりを行いたいとしている。
精密機器を保護する収容箱を自社独自に開発
そして、もう一つの事業の柱が、鉄道や通信関連の精密機器を保護する収容箱です。
「開発のきっかけは、携帯電話の普及にともない、通信基地局の膨大な増設が必要になったことでした。屋外に設置される基地局を保護するために、当社が得意とする金属塗装技術を活かして収容箱やシェルターを自社開発したのです」と嘉祥寺社長。駅ホームやコンコースに設置されているTVモニターケースや監視カメラケースなどでも豊富な納入実績を誇っています。
収容箱には、オーダーメイドで特注に対応するキュービクル型と、規格化された輸送用コンテナを活用したコンテナ型があり、最近では太陽光発電や蓄電池設備などの設備機器のシェルターも多く手がけています。特にコンテナ型の特長としては、設置や移動が容易であることや頑丈であることが挙げられ、消防法や建築基準法に基づいた構造にもできることから災害時の仮設施設としても期待されています。
▲キュービクル架台の溶接作業。働きやすい環境の中、女性社員も活躍している。
感染予防対策に需要が高まる医療用陰圧コンテナを新開発
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、新たに開発・発売されたのが「医療用陰圧コンテナ GREENBOX」です。自社工場で空調設備や陰圧機器などを全て設置し、完成した状態で納品するため、現地での工期が大幅に短縮できるほか、短期設置はもちろん、建築確認申請対応のため、長期設置にも対応できます。コンテナならではの頑丈さで多雪地域や塩害地域での使用にも耐え、必要に応じて移動できることも利点でしょう。
こうした同社の企画開発力はどのように培われているのか、嘉祥寺社長は「日頃の仕事のやり方や製品の売り方を見直し変えてみる、そんな小さな改善でもイノベーションだと考えています。会社の永続に必要なのは、こうした小さなイノベーションの積み重ねであり、当社ではどんなことでも改善提案した社員には全員、わずかな金額ですが報奨金を出しています。輸送用コンテナの活用なども社員の提案で実現したものです。日本のものづくりはまだまだ期待できますよ」と語っていました。
▲CDCガイドラインに準拠した陰圧機器を標準搭載した医療用陰圧コンテナ「GREENBOX」。左上の写真は「GREEN BOX」の内観。
活用した事業メニュー
■ビジネスマッチング事業
堺市内の企業交流会に参加しています。堺市産業振興センター1階ロビーに製品を展示していたことで引き合いもありました。
■DX導入促進支援事業
ホームページのリニューアルにあたってSEO対策を行ったほか、会社や工場、製品を紹介する動画を制作し、ホームページや展示会会場で活用しました。
■各種セミナーの受講
DXや知的財産などのセミナーに参加。新製品の特許情報の調査方法を知ることができたのは有益でした。
株式会社三翠社
代表者名 | 代表取締役 嘉祥寺 豊 |
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本社 | 堺市西区築港新町2-6-36 |
TEL | 072-245-3131 |
設立 | 1954年設立 |
資本金 | 9,800万円 |
従業員数 | 180名 |
事業内容 | 各種塗装、収容箱や鉄道関連製品などの製造・販売 |
ホームページ | https://www.sansuisha.com/ |