インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~
オーダーに応じて特殊なものや集めにくいものも調達
わが国では1980年代に、円高や第一次産業の就労者の減少などを背景に農水産物の輸入が急拡大しました。誠晃貿易株式会社も、ちょうどその頃の1984年の創業です。当時は主に缶詰の原材料としてマッシュルームやアサリなどを取り扱っていたそうですが、その後、缶詰に代わって冷凍食品が台頭し、現在は同社が輸入する農水産物も冷凍加工食品に多く使われているということです。
そうしたなかで同社の強みは、40年近い実績のなかで築いたネットワークにより、顧客のオーダーに応じて新たな産地や農水産物、さらには加工業者を現地で調査、開拓できることでしょう。「例えば、最近原材料が減少している魚のすり身では、新たな原材料となる魚の調査や開発を行っています」と江田昇平専務取締役。
また変わったところでは、キチン・キトサンという高分子の原材料となるエビの殻だけを集めて、現地で処理・加工まで施したものを日本へ輸入しています。このような特殊なものや大量に集めにくいものの調達も得意としています。
▲文化や価値観の全く異なる海外との取引において重要なのは「コミュニケーションを密接に重ねたうえで契約は必ず書面で交わすこと、品質管理を相手任せにしないこと」と江田専務は語っている。
日本の食材のほか、地元・堺の打刃物の輸出も
逆に、海外の企業から日本の食品の輸出について相談されることも少なくないとか。「フランスの企業から有機米を輸入したいという話もありました。日本の食材は価格も高めなので、輸出先は欧米が中心になりますが、香港やシンガポールからの問い合わせもあります」。海外との取引については、現地のバイヤーとの交渉、販売チャネルの開拓など、同社のノウハウを生かした輸出支援も担っています。
輸出事業としては、地元堺の打刃物を一部輸出しています。「包丁は食品と親和性もあり、良い食材は良い道具で調理したいというニーズは高いと思います。海外の取引先へ提案し受注になることもあり、高品質の堺の打刃物は海外でも人気です」と江田専務は語っています。
▲生鮮、冷凍野菜・水産物、栗加工品など、同社の強みは、徹底した安心・安全な商品作り。
地域への還元から介護事業をスタート
将来は海外での事業展開も視野に
ところで同社では、2016年に関連会社の株式会社創新ウェルネスを設立。リハビリ特化型デイサービス「ポシブル堺鉄砲町」を運営しています。そのきっかけについて「社長がリハビリを受けたことがあり、リハビリによって筋力の低下を防止し、日々の活力を取り戻す効果を実感しました。地域への還元ということでスタートさせた事業です」と江田専務。
「孫と旅行に行きたい」など、利用者一人ひとりから具体的な目標をヒアリングし、それに向けて丁寧なサービスを行い、地元の利用者様から感謝の声をいただいています。
「当事業で得たノウハウを生かし、将来、東南アジア諸国も高齢化社会を迎えた時に介護事業を展開することも考えられる」と江田専務。同社の輸出入事業に新たな広がりを感じました。
▲要介護者・支援者を対象としたリハビリ特化型デイサービス「ポシブル堺鉄砲町」。一人ひとりの目標に合わせたプログラムが作成される。
活用した事業メニュー
■技術シーズ提案支援事業
当社が取り扱うエビ殻という廃棄物をポリマー化することで、さまざまな活用が考えられないかと、大手メーカーとの取引、提携を考えて利用しました。
■ものづくり経営大学
将来の事業承継に備えて、中小企業の経営者として求められる人間力や知識、スキルを習得すべく受講しました。
■医工連携促進事業
さまざまなニーズやシーズを理解するため「さかい健康医療ものづくり研究会」に入会しました。
誠晃貿易株式会社
代表者名 | 代表取締役 江田 晃 |
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本社 | 堺市堺区宿屋町東2-2-33 |
TEL | 072-222-5740 |
設立 | 1984年設立 |
資本金 | 1,000万円 |
事業内容 | 食品の輸出入、現地開発、輸出支援 |
ホームページ | http://www.seiko-trading.com/ |