インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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従業員の心身の健康が優れたものづくりに不可欠 有限会社関西貿易

「社員の幸せを願う」ことを経営方針の第一に掲げて

 農業機械や自動車などの幅広い分野で、産業機械の設計から製作、さらには据付、メンテナンスまでの一貫したものづくりで強みを発揮する関西貿易。経営理念に大きく掲げているのは「すべてが幸せになるための会社づくり」です。そして、それに基づく経営方針の第一とするのは、「社員の幸せを願う誠実な企業」で、そこには森勲社長の「ものづくりは人づくり」という考えがありました。
 「ものづくり大国と言われた日本ですが、今では先進国の中でも遅れを取っていると思っています。しかし、堺市内にも優れた技術を持つ企業がまだまだたくさんあり、そうした会社と一緒に、もう一度ものづくり大国・日本を復権させたい。そのために大切なのは、そこで働く人たちの心身の健康だと考えています」。
 実際、具体的な取り組みが評価され、「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として、「健康経営優良法人2022」に認定されています。
 森社長が従業員を大切にする経営を始めたきっかけは、創業してまもなくから参加した経営者の勉強会でした。「業績も安定している良い企業の経営者に共通していたのは、従業員を大切にしていることでした。そこに感化されたのです」。
 若い世代が無理なく仕事を覚えられるよう、現場での作業にPDCA(計画→実行→評価→改善)を導入したり、技術の習得レベルをオープンに評価する社内検定制度を設けたりするなど、これまでも従業員が安心して働ける環境づくりに注力してきました。


▲外国人材が多く活躍する同社では、近くベトナムに現地法人を設立する計画だ。

日本のいい企業を訪問して、経営理念の重要性を再認識

 森社長が堺市産業振興センターの「ものづくり経営大学」の受講を決めた一番の理由は、講師の一人が『日本でいちばん大切にしたい会社』などの著書で知られる坂本光司氏だったからでした。
 「坂本先生の著書は何冊も読んでおり、直にお話をうかがえるというので、すぐに受講を決めました。そして、『日本でいちばん大切にしたい会社』大賞の受賞企業を訪問できたのは、大変勉強になりましたね。現場の雰囲気や、そこで働く従業員の方々の言動、姿を実際に見て、本当に従業員を大切にされていることがよくわかり、経営者の理念は現場に色濃く反映されるものなんだということを改めて実感しました」。
 森社長とともにものづくり経営大学を受講した阿波彰太取締役部長もまた、経営理念は毎日の唱和など日々の積み重ねで少しずつ浸透させることで、ようやく企業の風土になることに気づかされたとか。さらに、こうして外に出て他の会社を見学することの重要性も再認識したと話しています。
 「当社が参加している大阪ものづくり研究会(OPS)でも、参加企業が互いに現場を訪問し、改善すべき点を指摘し合ったり、改善内容を発表し合ったりという活動を行っていますが、『日本でいちばん大切にしたい会社』を訪問したことで、自社の現場では慣れて見落としがちなことに気づかされたり、刺激をもらったりできる意義を改めて実感しました」。


▲さまざまな業界の製造現場で効率化や省人化に貢献する生産設備の製作に設計から携わっている。

将来的には障がい者の雇用も誰もが働きやすい会社を目指して

 関西貿易では、朝礼や3S、IT、社内イベントなどの各テーマについて、従業員が主体的に取り組む委員会活動を行っており、阿波取締役部長の言うOPSの活動もその一つ。この頃では、見学者へのホスピタリティも高まって、ウエルカムボードを作ったり、メモを取りやすいようにボールペンをセットしたバインダーを用意したりといったことを、社員が自分たちで工夫しているそうです。
 「ものづくりは、もはやサービス業です。使う人の身になって考えることが大切で、当社では笑顔で、相手の目を見て話を聞いたり話したりするように日頃からコミュニケーション力の向上に努めています。お得意先の要望を聞き出そうと思うと、高いレベルでコミュニケーションできる技量が求められますから」と森社長。こうした取り組みが、得意先の満足度が高い同社のものづくりにつながっているようです。
 外国人材を積極的に活用し、今後は女性従業員の比率も高めていきたいと森社長。「工場内が美しく女性が多く活躍しているヨーロッパの自動車メーカーなどの企業は、やはり良い製品を作っています」。
 そして将来、新たに取り組んでいきたいのは障がい者の雇用だそうです。「それができれば、誰にとっても働きやすい会社だということですから」。
 社内の風通しを良くするために導入した社内コミュニケーションツール「SONR」を活用し、社員の予定などの情報を全社で共有しているほか、社員旅行やバーベキュー大会、フットサル大会、目標達成祝賀会といったさまざまな社内イベントを通じて、社員同士の交流も図っています。
 「『いい会社づくり』は一朝一夕にできることではありませんが、まずは、強い"思い"を持つことからですよね。それがなければ、何も始まりません。『日本でいちばん大切にしたい会社』とは、その会社の力が最大限に生かされていることであり、大きな強みだと思います。当社ではこれからも、そうした経営を目指していきます」と力強く語っていました。


▲CADを使って製品の設計を行う女性社員たち。


左:森 勲 代表取締役
右:阿波 彰太 取締役部長

有限会社関西貿易

代表者名代表取締役 森 勲
本社堺市中区土塔町2158-1
TEL072-230-3987
設立1996年設立
資本金1,000万円
従業員数21名
事業内容産業機器の設計・製作、金属・鋼材・表面・熱処理などの各種加工、試作品設計・製作など
ホームページ https://kansaitrading.co.jp/

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