インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~
クリーンルームで大型サイズの印刷が大きな差別化に
1974年にラジオの銘板の印刷からスタートした株式会社マツダスクリーン。スクリーン印刷のあらゆる材質に印刷できることや機能性のあるインキがあること、曲面や立体にも対応できることといった特長を活かし、かつてはビデオカメラや液晶プラズマテレビなどの最先端の家電製品、さらにはプリクラ機の目隠しカーテンの印刷加工へと事業を拡大してきました。
そうしたなかで導入した1550mm×2750mmまで印刷できる大型スクリーン印刷機は業界最大級で全国にも数社しか所有していないとか。さらに同社では印刷工場をクリーンルームにしており、こうした清浄度の高い環境で大型サイズの印刷ができる会社は他にないといいます。現在は医療器具に使われる粘着印刷なども手がけています。
▲プラスチックをカットするランニングソー。幅2465mm、奥行2440mm、厚み100mmまで対応できる。
独自の発想と高い技術力でこれまでにない導光板を開発
このように同社は高い機能性と付加価値を追求したスクリーン印刷を強みとしており、最近では、アクリル板の面上が均一に光るように特殊加工された導光板の開発に成功しています。既存製品と異なって自由自在にカットして使用できるほか、どの角度からもきれいに見えるのが特長です。
「開発にあたってはインキを調合する専用機も自社内に装備し、原材料の配合比率や印刷技法の試行錯誤を繰り返しでしたが、この技術が高く評価されて、昨年には大阪府の『大阪ものづくり優良企業賞2022』の審査委員特別賞を受賞しています」と中元良営業部長は語っています。
同社の高い技術開発力がいかにして培われているのかという問いには「かつては不良品を出さないことが評価されてきましたが、今の時代に勝ち残るために当社では『どういうチャレンジができるか』『何か創意工夫できることはないか』を追求しており、例えば、さわってはいけない、汚してはいけないとされた導光板も、さわってもいいものを作れないかという発想から製品化を実現。特許も取得しており、施工時の作業性が向上したと喜ばれています」と話しています。
▲大型スクリーン印刷機で印刷されたアクリル板の使用例。得意とする木目調やステンレス調印刷は建材分野でも活かされる。
一般消費者に向けた自社ブランドの展開も視野に
今日、コインゲームの盤面などのアミューズメント設備をはじめ、建材や自動車、照明、雑貨など幅広い業界に貢献している同社ですが、今後の展望として、一般消費者を対象としたB to Cビジネスにも注力していきたい考えです。
「当社としてはすでに幼児向けの名前シールなどのグッズを『やくだち』ブランドで展開していますが、アクリル板の魅力が広く認知されるようになった今、アニメファンに向けたグッズなど、新たな需要を獲得できるのではと期待しています。一方で脱プラが叫ばれるなか、当社も再生アクリル板の活用に積極的に取り組んでいきたいと考えています」。
2025年に大阪で開催予定の日本国際博覧会の会場作りでも、同社の独自性の高い技術が貢献できる場がないかと期待が高まっています。
▲スクリーン印刷の魅力について「発色が美しく、液状であれば何でもインキに配合することができるので、ステンドグラス風の意匠を施したハガキなど、表現の可能性は無限です」と語る中元営業部部長。
活用した事業メニュー
■申請手続きの支援
大阪府「大阪ものづくり優良企業賞2022」の応募に際し、申請手続きを支援していただきました。
■堺市先端設備等導入支援補助金
新型コロナウイルス感染症の影響下で、労働生産性を向上させる先端設備の導入に係る経費を補助していただきました。
株式会社マツダスクリーン
代表者名 | 代表取締役 松田 好隆 |
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本社 | 堺市東区石原町1-123-2 |
TEL | 072-258-0002 |
設立 | 1974年設立 |
資本金 | 1,000万円 |
従業員数 | 30名 |
事業内容 | 印刷事業(シルクスクリーン・精密微細スクリーン・パッド印刷)、印刷関連事業(印刷部材品の加工・組み立て・取付け) |
ホームページ | http://www.matsuda-screen.co.jp/ |