インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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医療系ソフトウエアの受託開発で高い独自性を発揮 株式会社ロッケン

人工知能と可視化技術を活かして高度な医療機器ソフトウエアの開発などを行っている株式会社ロッケン。今年度、国の「成長型中小企業等研究開発支援事業」に採択されたほか、フランスにも拠点を開設し、ますます「攻め」の姿勢を見せています。

医療機器メーカーの開発のため誕生した大学発ベンチャー企業

 医療のDXが急速に進展し、内視鏡手術における内臓や血管の画像解析など、高度なデジタル技術が外科手術をサポートする時代となりました。
 そうしたなかで、株式会社ロッケンは、CTやMRIの画像から細い血管を特定し3D化して可視化したり、医療画像からガンを特定したりするなど、AIや3D機能を備えた医療系ソフトウエアや医療機器の開発などを得意とするIT企業です。
 同社設立の経緯について坂本泰一社長は「もともと私は、大阪府立大学(現在の大阪公立大学)の前学長だった辻洋先生の研究室で人工知能(以下、AI)を使ったビッグデータの解析などを学んでいました。ディープラーニングという言葉が出始めた頃で、今日ほどAIが注目されていなかった時代です。辻先生の研究室ではフランスの大学と協定を結んで、互いの学生の留学を積極的に行っており、私もフランスに留学しました。フランスからも非常に優秀な学生たちが来日し、なかには日本での就職を希望する学生もいましたが、言葉の壁もあり難しい状況でした。そうしたなか、私が卒業後に就職した大手医療機器メーカーで新規事業の開発プロジェクトに関わることになり、それを手伝ってくれるベンチャー企業が彼らと大学の方々の協力により設立されました。そのプロジェクトが無事に完了し発展的に解散する予定でしたが、メンバーの技術力が非常に高レベルで、もっといろんな製品を開発しようということになり、私はそのベンチャー企業を引き取るために退職したという経緯です。社名のロッケンは、辻先生が運営されていた『第六研究室』に由来しています」と語っています。


▲「外国人ばかりの社内を見て引かれることが多く、現在、日本人社員を大募集中です」と坂本社長。

医療系の国際規格にも精通 AIと3Dの両方で強みを発揮

 同社の強みはまず、医療機器メーカーで開発に携わっていた坂本社長が、医療機器ソフトウエアの開発において必須の国際規格IEC62304に精通しており、開発から事業化までの基礎技術開発、ソフトウエア設計、ソフトウエア実装、規格試験向けのテスト、技術移管のノウハウを有していることにあります。さらに、同社にはAIのエンジニアと3Dのエンジニアが半々在籍し、AI開発と3D描画技術を同時に行うことができるのも大きな特徴です。
 そして今年度、同社の研究テーマ「学習データの偏在を防ぎ、データ構築からモデル化までを一気通貫で構築できるAIシステムの研究開発」が、経済産業省の成長型中小企業等研究開発支援事業に採択されました。これは、同社がAIに不慣れな企業が独自のAIを開発する際に、AIの教師データとテストデータを適切に割り振ることができないというデータ偏在の問題について、自動で適切な教師データとテストデータを選び出す技術を開発したのを、さらにAI人材がいなくても学習データ構築からモデル化までをワンストップで提供できるAIシステムの研究開発を目指すものです。これにより、AI人材の不在という人材的課題と、高額なAI人材を雇用しなければならない資金的課題、さらには情報を外に出せないという環境的課題の解決に貢献できると考えています。


▲社員の90%が外国人の社内の様子。

フランス支店を拠点にヨーロッパへ事業を拡大

 設立当初、フランス人学生の受け皿の役割を担ったこともあり、大学から独立した今も社員の90%が外国人の同社ですが、母国に残してきた家族などのこともあり同社のプロジェクトに長く関わることを望みながらも帰国する社員もいました。そこで今年9月に、フランス支社を開設しています。
 「まずは帰国する社員のための支店ですが、今年11月にドイツで開催される『MEDICA2024』という世界最大の国際医療機器見本市にも出展する予定で、フランス支店を足がかりにヨーロッパでも事業を展開したいと考えています。また、ソフトウエアやAIの本場であるアメリカにも挑戦したいですね」。
 同社では高い独自性を活かし、今後も大手医療機器メーカーや有名大学などをクライアントに受託開発に徹する考えです。一方で、AIを使ったスポーツ解析などのシステムはAIの活用事例として広く訴求していきたいと考えており、その事業は子会社でと計画する坂本社長は、その志に共感してもらえる出資者を募っているところです。


▲社員に看護師の資格取得者もおり、医療のバックグラウンドを持っていることも同社の強み。
経営のキモ

同社はAIと3Dソフトウエア開発を得意としており、これらの強みでAI人材不要で使えるシステムの研究開発が成長型中小企業等研究開発支援事業に採択されました。企業の人材や資金課題を解決できる最新技術です。


株式会社ロッケン

代表者名代表取締役 坂本 泰一
本社堺市北区長曽根町130-42 さかい新事業創造センター108
TEL072-231-9815
設立2016年設立
資本金100万円
従業員数10名
事業内容国際規格対応の医療機器ソフトウエア開発、人工知能開発、コンピューターグラフィックス技術開発
ホームページhttps://rokken.tech/
さかしる掲載ページhttps://sakacil.com/detail/?id=14903

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