インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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一人ひとりの幸せを大切に考えた支援事業を拡げて 株式会社 A.C RISE

高校生の時に病気が原因で片目の視力を失ったという島谷竜一社長。「自分だからこそできること」を考えて、昨年7月に就労継続支援B型事業所を運営する株式会社A.C RISEを設立。この秋からさらに「攻め」の新たな展開を計画しています。

タイで恵まれた自分の環境に気付かされ福祉事業の道へ

 株式会社A.C RISEの現在の事業内容は、障害や病気などで一般企業への就職が難しい人たちを対象に軽作業などの就労機会や就労訓練を提供する就労継続支援B型事業所「ライズ初芝」の運営です。
 島谷竜一社長が福祉事業に関心を持ったきっかけは、まず自身の障がいにありました。生まれた時から抱えていた難病が原因で、高校生の時に緑内障を発症して片目の視力を失い、将来への不安しかなかった時に知人から掛けられた「君がその病気を持って生まれてきた理由は何なのか、君にしかできないことを成し遂げるためにその病気を持たせてくれたんやよ」という言葉に勇気をもらったといいます。
 「その時点ですぐに福祉事業と思ったわけではないんですが、経済的に自立したいという思いは強く、古着のネット販売などをやったこともあります。一時、人間不信に陥っていた時に仕入れのために訪れたタイで、生きていくだけで精一杯の人たちの姿を見て、日本で生まれた自分が恵まれた環境にいることを実感しました。帰国後に、『勉強させてください』と福祉事業を展開している恩師の株式会社RISEGROUP代表取締役社長山川裕也さんのもとを訪ねたのが、現在の事業所を立ち上げるきっかけとなりました」。


▲希望者には、栄養バランスの取れたお弁当を提供。そのお弁当は他の就労支援事業者に委託している。

利用者のやりたいこと、できることを尊重した支援を

 半年ほど事業所の運営について学んだあと、昨年7月に会社を設立。そして10月に南海高野線初芝駅の駅前に、就労継続支援B型事業所「ライズ初芝」を開設しました。
 利用者さんが、障がいや体調にあわせて週2日から、無理のないペースでパソコンによるデータ入力や、袋入れ、箱の組み立てといった内職作業が行える就労支援を担っていますが、事業所が用意したメニューに限らず、自分の興味のある仕事ができるように支援している点に驚かされます。
 「私たちは、その人の〝やりたいこと〟を尊重したいですし、〝できること〟を見つけてあげたいと考えています。例えば、私がやっていた古着ビジネスに興味を示した人にはやり方を教えています。実際に始めている利用者さんもいます。革製品づくりをしたいという利用者さんがいれば、その指導をしてくれる事業者さんを探してきます。こちらで用意した同じ作業をしてもらうほうが楽かもしれませんが、利用者さんのやりたいこと、できることをお手伝いしたいと考えています」。仕事内容によっては事業所に通わずに在宅ワークでもOKとしていることも同事業所の特徴です。
 このような本人の意志を重視するのは、利用者さんに対してだけでなく職員に向けても同じ考え方です。
 「現在、サービス管理責任者の資格取得者を含めて、私が期待している職員たちは、私がこの事業所を立ち上げる時の思いをじっくり聞いて共有してくれているメンバーです。将来、独立したいなら応援しますし、それぞれに新たな事業所を任せたいとも考えています」。


▲受託した製品の梱包作業は職員と利用者で行う。

児童発達支援事業や放課後デイサービスも開始

 同社ではこの秋からさらに事業を拡大します。まず9月に就労継続支援B型事業所をもう1カ所増やすほか、来年3月までに就労継続支援A型事業所を3カ所開設する予定です。そして、島谷社長が今後、新たに取り組みたいと考えているのが、障がいのある子どもたちのための児童発達支援・放課後デイサービスです。
 「ある方と児童発達支援の本来の目的とは何かという話をした時に、実は訓練次第で一般の学校に通える子どもたちもいるのに、放課後デイサービスから就労継続支援へとレールに乗せられて選択肢を奪われているんじゃないかということに気付かされ、一人ひとりに向けた支援の大切さを感じたんです。児童発達支援・放課後等デイサービスを2024年12月オープンします」。
 現在24歳の島谷社長がこうした攻めの事業展開ができるのは、山川社長をはじめ同社に投資している経営者たちがいるからだとか。だからこそ、いつかは自分もその役割を担いたいと語っています。
 「6年後までに保育園、40歳までに高齢者施設を作って50歳で引退したら、養護施設の設立のための寄付をして応援をしたいと思っています。最近、子どもの頃から誰かを喜ばせることが好きだったことに気づきました。人を幸せにすることが自分の幸せにつながっていると感じます」。


▲企業から依頼されたパソコンを使う業務も職員から指導を受けた利用者がこなしている。
経営のキモ

自身が障がいを持つ島谷社長が、障がい者支援に掛ける思いを共有し事業展開するために、管理者は就労支援事業の経験のある有資格者ですが、一般職員は敢えて未経験者を採用し社長の考えに沿って利用者に接していることが同社の特徴です。


株式会社 A.C RISE

代表者名代表取締役社長 島谷 竜一
本社堺市東区日置荘西町4-11-25
TEL072-287-5231
設立2023年設立
資本金100万円
従業員数10名
事業内容就労継続支援B型、就労継続支援A型の運営
ホームページhttps://acrise.group/
さかしる掲載ページhttps://sakacil.com/detail/?id=25347

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