インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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自動車用品で培った高い技術力を活かし新たな事業拡大へ イズミ工業株式会社

主力製品のサイドバイザーなど自動車用品や部品が売上の大半を占めるイズミ工業株式会社。そこで培われた高度な技術力やノウハウを活かして第2、第3の柱を育てようと、スポーツや医療といった新たな領域へ事業を「拡げ」始めています。

高精度な成形や塗装技術で3×3コートを開発・製造

 「イズミ自動車商会」として、1946年に創業した時から自動車産業に関わってきたイズミ工業株式会社。1950年にメーカーに転向し、今では自動車用品や部品を企画・設計から量産までを一貫して担っており、コストや納期といった顧客の要望にあわせて提案できるのが強みです。特にサイドバイザーについては、三次元曲面を歪ませることなく、均一な厚みで高精度に成形する技術など数多くの特許技術を有して、高い競争力を誇っています。
 一方、昨今の例でいえば新型コロナウイルス感染症の流行や為替相場の変動など、社会情勢が大きく変化する時のリスクを考えると、2本目、3本目の事業の柱を作ることが大事だとずっと考えていたと森利幸社長は語っています。
 「依頼を受けて街灯カバーの製造も行っていますが、公共事業への参入はなかなか難しいと感じていたところへ3×3バスケットボール(3人制バスケットボール)のコートという話が入ってきました。東京オリンピックの正式種目になったことから、これから日本でも普及するのではないかと考えて、試行錯誤はありましたが、お引き受けしました。
 当社が手掛けたのはジョイント敷設式のコートで、90cm角サイズのパネル252枚をジグソーパズルのように1枚ずつつなぎ合わせて敷設することで、空き地やコンクリートの床が公式のバスケットコートに早変わり。パネルを取り外して回収すればまた元に戻せるというものです。大手スポーツメーカーからの受託生産のため、寸法精度が厳しく、スリーポイントラインの僅かなズレやパネルの反りやキズ、色調の違いなども許されません。そうした品質の高さが求められる成形や塗装に、自動車用品で培った技術やノウハウが活かされています。


▲新規事業の製品について、より良いモノづくりのため社内ミーティングで常に情報共有をしている。
▲新規事業として3×3バスケットボールで使用するジョイント敷設式のコートも手がけている。

医療用チューブコネクターで扱いの難しいPVC樹脂に挑戦

 「当社では樹脂についての豊富な知識を備えた社員もおり、使用する素材の選定から提案することも少なくありません。スポーツコートで使用しているのは一般的なプラスチックであるポリプロピレンですが、一昨年から製造を始めた医療用チューブコネクターにはポリ塩化ビニルを使っています。これは塩素を含んだ樹脂なので下手に扱うと金型や機械を錆びさせることがあり、多くの成型メーカーが嫌がる素材です。当社としてもチャレンジでしたが、うまく使いこなせればポリ塩化ビニルの成型技術の確立につながると考えて引き受け、無事に納品できました」。
 これを機会に、さらに医療分野への進出を図りたいと森社長。しかし、課題もあると話しています。
 「医療用品の開発・製造に必要なISO13485をはじめ、厚生労働省の医療機器製造販売登録に当たるFDA認証については、自動車用品ばかりを製造してきた我々には全く知識もなくゼロからのスタートで苦労しましたが、従業員たちが新しいことに取り組んでいこうという意欲で取得してくれました。せっかくFDA認証も取得したので、当社としても製品数を増やしていきたいところですが、課題はクリーンルームの整備です。薬機法の分類では、現在製造している吸引器のチューブコネクターは人体に全くふれない部分であり、クリーンルームまで求められていませんが、今後は設備として必要になると思います」。


▲医療用チューブコネクター
▲同チューブをつけたHOPEライナー

医療や介護分野への進出で事業拡大とともに社会貢献にも

 ただ、新たな設備に投資をしても、医療分野への進出を加速させたい理由として森社長は「高齢化が、日本だけでなく当社の工場のあるタイでもどんどん進んでいます。今後、医療や介護で樹脂製品のニーズはますます高まってくると考えられ、当社の事業拡大という目的もありますが、企業として少しでも社会に貢献できるものづくりに携わりたいと考えています」と語っています。
 新しい領域への挑戦にやり甲斐や楽しさを感じている社員も少なくないと森社長。同社が製造したコートの使われている試合会場へ出掛けた社員もいたといいます。
 「当社は、製造部門をほぼ海外にシフトし、本社は少数精鋭の体制なので、常にスピード感を持っていることが優位点だと考えています。今後はそこをさらに強化し、いつかインドや南アメリカ、アフリカといった海外への展開も視野に、自動車業界だけでなく、人間の暮らしがより良くなる事業ができればと思います」。


▲製品づくりはタイに設立した子会社で、部材の検品から梱包などは本社で行っている。
経営のキモ

外部環境の変化を「チャレンジの機会」と捉え、さまざまな新分野事業進出への挑戦をされてきました。ものづくりを通して社会貢献をしたいという社長の思いが社風となり、従業員のモチベーション向上にも繋がっています。


イズミ工業株式会社

代表者名代表取締役社長 森 利幸
本社堺市堺区東湊町4-262
TEL072-241-3600
設立1946年創業 1960年設立
資本金9,498万円
従業員数30名
事業内容自動車用品やスポーツ用品などの樹脂製品、アルミ・ステンレス加工製品、鍍金製品
ホームページhttps://izumi-ind.co.jp/
さかしる掲載ページhttps://sakacil.com/detail/?id=8201

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