インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

昨年、創業80周年を迎えた株式会社アキボウ。スポーツ自転車の輸入卸販売だけでなく、自社独自の商品開発も行っています。大阪・関西万博では、折りたたみ式Eバイクで協賛。広い会場内のスタッフの移動をサポートします。
「ものづくり商社」として日本人に合った製品も自社開発
1944年の創業当初は、日本で製造された自転車の部品や完成車の輸出を行っていたという株式会社アキボウ。1970年代のオイルショックやプラザ合意による急激な円高を経て輸出事業が難しくなり、逆にそれまで部品の売り先であったヨーロッパの自転車メーカーから完成車を輸入するようになったといいます。1989年のことでした。
「当社は、すでに部品のサプライヤーとして海外のメーカーとのネットワークを構築していましたし、国内に目を向ければちょうどバブル経済の真っ只中で、ユーザーには経済的に余裕があり、また自転車の先進地であるヨーロッパへの憧れもありました。そこで時代の流れは輸出から輸入だということで、スポーツ自転車の輸入卸販売をスタートさせたのです。
その後、取扱いブランドをどんどん増やす一方、ヨーロッパ人とは体格も感性も違う日本人には、日本人に合ったサイズ感やデザインがあるのではないかと考え、『ものづくり商社』として、自社独自の製品開発も進めています」と西木一彦社長は語っています。
その"ものづくり"を担っているのは、大阪港にあるアキボウQCセンターです。製品の品質管理から万一の品質問題への対応、そして海外メーカーや新たな製品開発へのフィードバックまでの役割をここに集約させています。ユニークなのは、既成概念にとらわれることのない製品開発を進めるべく自転車業界の出身でない技術者も積極的に採用していることです。そこで誕生した製品の一例には、昔に大流行したマウンテンバイクのモデルを最新の仕様でオマージュした製品があり、製造が間に合わないほどの大ヒット商品になっています。


▲本社では、新製品の企画や営業・販促、事務業務などを担っている。
2023年に開設された、自転車のある暮らしを楽しむための情報サイト「SHIFTA」。
https://shifta.jp/
協賛がスタイリッシュなEバイクへの関心につながれば
ところで同社は、大阪・関西万博にサプライヤーとして、未来社会ショーケース事業のスマートモビリティ万博で、スタッフの移動用モビリティを無償提供(貸与)しています。採用されたのは、折りたたみ式Eバイク「VICCI(ヴィチ)」です。
博覧会協会への担当窓口を務めた国内営業部の山本雄彦さんは「初めて協会に声を掛けたのは2022年11月でした。会場内はもちろん、その周辺の移動にも自転車が便利なのではないかと何種類かの自転車を提案させていただいたのですが、最終的に万博仕様に仕上げたVICCI6台を無償貸与することになりました。
VICCIを提案した理由は、身長や体格、性別を選ばず、誰もが安心して乗れる設計になっていることと、万博にふさわしい未来感があるところです。さらに折りたたむとテーブルの下にも収納できるコンパクトさと、Eバイクにしては軽量で持ち運びやすいことも採用された理由だろうと考えています。
スタッフの詳しい動線は聞いていませんが、来場者の目に全く触れないわけでなく、走行しているスタイリッシュなVICCIを見て、関心を持っていただけることがあれば嬉しいですね」と話しています。


▲製品の品質管理や整備、新製品の開発などを担っている「アキボウQCセンター」。
環境保全に貢献するマイクロモビリティの普及へ
大阪・関西万博に協賛することへの思いを、西木社長に伺いました。
「当社は、大阪ヘルスケアパビリオンのリボーンチャレンジにも次世代ライフスタイルモビリティを出展する予定です(出展期間:9月2日~8日)。それに向けては、各部署からのメンバーで横断的に組織した万博プロジェクトチームを立ち上げましたが、メンバー以外の社員からも意見を聞くなどして、全社で万博に対する関心を高めてきました。EXPO'70のように、今回の万博も今年で終わらず、長く語り継がれていくことでしょう。その大舞台に当社が関わらせていただけたのは光栄なことです。
万博のテーマにも"未来社会のデザイン"とありますが、これからの未来にEバイクはマイクロモビリティというカテゴリーの中でますます広がっていくでしょうし、進化しなければならないと考えています。
また、昨今の異常気象を考えても環境保全はグローバルな課題です。当社の企業理念に『グローバルな舞台で人々の健康と地球環境保全に貢献する企業』を掲げていますが、マイクロモビリティをもっと活用することが地球環境の保全に貢献することをこれからも訴えていきたいと思っています」。
経営のキモ
海外とのネットワークの強みを活かし、既成概念にとらわれずに異分野出身の技術者も参加し国内市場向けにカスタマイズするビジネスモデルを構築。ものづくり商社として自社独自の製品開発を進めていることが同社の強みです。

株式会社アキボウ
代表者名 | 代表取締役社長 西木 一彦 |
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本社 | 堺市北区中百舌鳥町5-758 |
TEL | 072-258-4005 |
設立 | 1944年設立 |
資本金 | 6,650万円 |
従業員数 | 49名 |
事業内容 | 自転車とその部品・アクセサリーなどの輸入、国内卸売販売、自動二輪の部品・付属品の輸出入、不動産業 |
ホームページ | https://www.akibo.co.jp/ |
さかしる掲載ページ | https://sakacil.com/detail/?id=21664 |