インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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思いのある万博にミニステージ用のデッキ材で協賛 中川木材産業株式会社

今ではよく見かける住宅用ウッドデッキや屋外の木造景観施設を他に先駆けて手がけてきた中川木材産業株式会社。大阪・関西万博では、サプライヤーとしてポップアップステージのデッキ材を提供したほか、施工にも携わっています。

ウッドデッキや木造景観施設のパイオニアとしての強みを発揮

 1911年の創業時より、木材一筋に100年を超える歴史を重ねてきた中川木材産業株式会社。現在はゼネコンやハウスメーカーなどを得意先とする土木・仮設材部門をはじめ、丸太・造園部門やエクステリア部門、土木景観施設工事、一般の方向けのDIY商品も手がけています。
 同社の強みは、フィールドアスレチックや住宅用ウッドデッキ、屋外景観施設など、木材を活用した製品の企画・開発力で、これらの製品をいち早く手がけてきたパイオニアです。
 「木材製品、木造施設というのは、すぐにノウハウが盗まれます。例えば、当社が独自に企画・設計したウッドデッキや、一般の方が自分で組み立てられるキットデッキも売れるとわかればすぐに模倣され、価格を下げた類似品が出てきたりしました。それでも見えないところで、経年による強度の低下を抑える特許工法を2つ有していることが当社の強みとなっています」と中川勝弘社長は語っています。
 屋外の景観施設についても、有名テーマパークで同社の木材や施工技術が多く採用されています。
 「この大型プロジェクトに、どこか一区画でも関わることができないかと、私が自ら飛び込み営業をしました。小さなデッキの工事を受注したのがきっかけで、その隣、その隣と工区が広がり、最終的にはかなりのエリアに携わることができました。現場で当社の提案や施工技術の高さが評価されてのことだと思います」。
 こうした実績が、今回の大阪・関西万博でも活かされることになりました。




▲同社2階には、得意とするウッドデッキのショールームがある。

人生の転機となったEXPO'70博覧会には積極的に参加

 「大阪・関西万博の開催が決まり、個人的にも寄付を行いましたが、会社としても何か関われたらと考えていました。ある設計事務所から見積もりの話があり、そのやりとりの中でサプライヤーとして木材の提供を打診されました。私自身、人一倍万博への思い入れがあり、協賛することにしたのです」。
 その中川社長の万博への思い入れとは、1970年に開催された大阪万博(EXPO'70)の万博協会で、最年少職員として運営に携わった経験にありました。
 「当時は言葉ができず、なかなか馴染めなかったなかで、インドネシアの皆さんと親しくなり言葉を教えてもらいました。万博期間中に簡単な会話ができるぐらいまで習得し、その後、商社に就職した時はインドネシアに赴任しました。今もその交流は続いています。私の人生の転機となった出来事でした」と語っています。
 こうした中川社長の個人的な思いとは別に、中川木材産業もEXPO'70では杭などの仮設材の提供で関わっていました。その時に先代社長が「当社の仕事が表から見えないのは残念」と語ったことから、中川社長は「今度は人の目に付くところで」と多くの博覧会に積極的に携わってきました。なかでも国際花と緑の博覧会では、政府館のトラス材やメインデッキなどの企画・設計、施工を担当したほか、パビリオン内のイベント企画まで担当しています。そうした豊富な実績からか、大阪・関西万博でも、木材の協賛だけでなく有償で施工も任せられることになりました。




▲同社がデッキ材を協賛したポップアップステージは、東ゲート近くに設けられる。

再利用を考えた独自の規格で国産スギ材を採用

 今回、大阪・関西万博で同社が手がけたのは、ミニイベントが行われるポップアップステージのデッキ部分です。
 「かつて世界リゾート博や花博でも行ったことですが、開催期間の短い博覧会で使われる木材は、環境保全の観点から解体後の再利用を考えています。今回はその後利用を踏まえた当社独自の規格を採用しました。
 また、国が国産材の使用を推奨しているなかで、今回、国産のスギ材を使用しています。通常は耐用年数が短いスギ材をデッキ材にすることはなく、業界では非常識なこととされますが、期間が限定的な万博だからこそと考えました」。
 万博に参加することのメリットについて「直接的な効果については不明ですが、信頼性の向上にはつながると考えています」と中川社長。さらに今回の万博では、大屋根リングなど木材を使った建造物が象徴的に使われており、長く中川社長が訴えてきた木という素材がいかに環境への負荷が少なく、これからの時代にも大いに活用されるべきものであるかということを、多くの人が認識してくれるのではないかと期待を寄せています。

経営のキモ

ウッドデッキや景観施設のパイオニアとして、創業100年以上の歴史で培った独自技術と、特許工法を活かした高耐久な木材製品が同社の強みです。環境保全と再利用を重視し、万博をはじめ多くのプロジェクトで実績を残しています。


中川木材産業株式会社

代表者名代表取締役 中川 勝弘
本社堺市美原区木材通1-11-13
TEL072-361-5501
設立1911年創業 1953年設立
資本金2,640万円
従業員数13名
事業内容木製品製造・販売、土木用木材の販売
ホームページhttps://wood-deck.com/
さかしる掲載ページhttps://sakacil.com/detail/?id=31463

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